佑ちゃん来季5年目の飛躍はあるか…

 日本ハムの斎藤佑樹投手の今季レギュラーシーズンは6試合に先発し、2勝1敗に終わった。成績として物足りない結果となったが、リーグ戦最後の登板で、来季以降への希望の光をともす投球をみせた。

 9月29日の西武戦。5回を2安打1失点と好投。飛躍へとつながるシーズンラス投となった。チームはクライマックスシリーズ進出がかかった試合。大事な舞台で、力みのないフォームから伸びのある直球にスライダー、フォーク、今年のキャンプでマスターしたシュートを織り交ぜ、三回以降は無安打に抑えた。

 「ずっとやってきたことができた。肩を壊してから、力が伝わらない状態、力が入らない状態が続いていたけど、(ボールに)力が伝わっていくことができた。これを続けていくことが大事ですね」と佑ちゃんスマイルで振り返った。「今年、一番の投球ができた」と充実の表情で締めた。

 投球面では何がよくなったのか。今シーズン2試合目の登板となった4月10日・楽天戦。1回1/3を2失点で降板した。プロ入り後2番目に早いKO劇だった。

 2軍では真っすぐを磨くことをテーマに掲げてきた。12年オフに右肩関節唇を損傷。投げ方を気にしすぎていたようだ。肩に負担をかけず、スムーズなフォームで投じる。理想のフォーム固めへ。そのために千葉・鎌ケ谷2軍施設で、ネットスローを黙々とこなしてきた。

 ブルペンでの投げ込みとは違い、何球投げ込んでも肩肘に大きな負担はかからない。投球練習後、室内へ移動し地道にこの反復練習を行ってきた。「苦しんでやってきたことが、少しずつできましたね」。単調な単純作業を黙々とこなしてきた。その地道な努力が結果となって表れる。だからこそ、喜びも大きかったのだろう。

 あれから6カ月後、今の斎藤佑は真っすぐの質もかなり上がってきていると首脳陣は言う。栗山監督は「今持っている斎藤のボールを投げられていた。自然な形で放れたと思う」と振り返る。

 確かに、西武戦は真っすぐに自信をもってきたからこそ、落ち着いて投げられたようだ。真っすぐが戻れば持ち味の低めへの変化球も生きてくる。直球は145キロをマークし、ほとんどが140キロ台だった。そこに多彩な変化球を織り交ぜ堂々と投げる。本塁打王争いをする主砲メヒアからは2打席連続三振を奪った。早実、早大とアマチュア時代から見続けてきた山田GMは試合を観戦後「大学の時のいい時の斎藤に戻ってきたね」と、ボール、マウンドでの雰囲気などを総合して評価した。

 今季の7月31日・ロッテ戦。2年ぶりの勝利をつかんだ後「2年間、本当にお待たせしました。去年、肩をケガして待ってくださったファンの皆さん、本当に感謝しています。これから僕の第二の野球人生が始まりますので、一緒に頑張っていきましょう」と高らかに宣言した佑ちゃん。昨年の右肩関節唇損傷から復活し、第2の投手人生への手応えをつかんだシーズン終盤。栗山監督は「来年はローテ投手に戻れるようにしっかりやってほしいね」と期待する。

 この1勝は来季、ローテ投手として1年間投げ続ける布石へとつながる勝ち星となったようだ。来季へのステップアップへとつながったのは間違いない。来季が実りの5年目となるか注目だ。

(デイリースポーツ・水足丈夫)

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