虎に独特の“新風”吹き込む高代コーチ

 プロ野球の春季キャンプが2月1日、一斉にスタートした。楽天・松井、広島・大瀬良ら新人だけではなく、巨人の松井臨時コーチ、中日の谷繁新監督ら指導者にも注目が集まっている。

 阪神でも新外国人・呉昇桓や、掛布DCが話題となっているが、高代内野守備走塁コーチも新風を吹き込んでいる。

 同コーチは阪神に入団するまで広島、中日など日韓6球団で指導。金本(元広島、阪神)、荒木(中日)ら名選手を育てたことで知られる。また、09年の第2回WBCから2大会連続で日本代表の三塁ランナーコーチを務め、第2回大会では世界一に貢献した。

 阪神では昨秋の安芸キャンプから指導を始めているが、主力の指導は今春の宜野座キャンプが初めて。1月31日の全体ミーティングでは「鉄壁の守備陣を作る」と宣言し、初日から精力的に動いている。

 守備練習の前には“股割り”の導入を提案。2人一組でそれぞれが大きく足を開いて腰を落とした姿勢をとり、ボールを転がしあって捕球を繰り返した。

 「(守備の向上は)反復練習しかないから」と今後も徹底して基本練習を繰り返す方針。「野球は点取りゲームと言われるけど、点を与えないゲームでもある。1点を取るのは難しいけど、1点を与えるのは簡単だから。鉄壁の守備陣を作りたい。グラウンドに出ている選手だけじゃないよ。最後に(守備固め)で出る選手もゲームに集中していないと。仲良しチームではなく、一丸となるチーム作りをしたい」。昨季はリーグ2位の守備率・989を記録した守備陣をさらに底上げするつもりだ。

 走塁練習では意識改革に取り組んでいる。キャンプではフリー打撃中に、二塁後方で走塁練習する選手に張り付いて指導。西岡、鳥谷ら実績のある選手にも積極的に声を掛け続けた。

 昨秋のキャンプ中。昨季の阪神の走塁についてこう話していた。「テレビで阪神の試合を見た時に『何で今の打球で二塁からかえれないんや』というのがよくあった。やっぱり(秋季キャンプの)走塁練習は無難な範囲でやっていた。練習でこそギリギリいっぱいでやらないと。ライナーなら併殺を食らう、ヒット一本で本塁に帰れる、という所で打球判断をしないとね」。阪神は昨季は12球団ワーストの82本塁打で、リーグ5位の531得点。得点力不足解消へ、走塁への意識も高めていく方針だ。

 その指導ぶりに他球団も警戒を強めた。あるセ・リーグ球団のスコアラーは「高代さんが入ってベースランニングや守備に時間を割いている印象がある」と話した。選手と同様にコーチを警戒するのは異例。それだけチームに与える影響が大きいと感じているのだろう。

 オリックスでのコーチ時代は選手へ苦言を呈し、嫌われ役を務めたことがある。一方で今年の5月に60歳を迎えるが、常々「2軍で若手を1から指導したい」と話しており、選手への熱い情熱と愛も失っていない。派手な存在ではないが、05年以来のリーグ優勝に向けてカギを握る存在となりそうだ。

(デイリースポーツ・西岡 誠)

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