橋本大輝が個人総合最年少で金 初五輪の19歳が王者継承!日本人3大会連続金メダル

 金メダル決定の瞬間、日の丸を手に喜びを爆発させる(撮影・高部洋祐)
 鉄棒の演技を終え、ガッツポーズする橋本大輝
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 「東京五輪・体操男子個人総合・決勝」(28日、有明体操競技場)

 若き新エースが頂点に立った。男子個人総合決勝で橋本大輝(19)=順大=が6種目合計88・465点で金メダルを獲得し、同種目で最年少王者に輝いた。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で2連覇した内村航平(ジョイカル)に続き、日本勢は3連覇となった。体操のメダルは五輪で通算100個に到達。日本の金は13個となり、前回リオデジャネイロ五輪を早くも上回った。

 日本が誇る黄金のポテンシャルが、最高の舞台で輝いた。首位と0・467点差で迎えた最終種目の鉄棒。テレビ越しに集まっていく視線を一身に浴びるほど、技はキレを増し、車輪は大きくなっていった。美しい弧を描いての着地。わずかに一歩動いたのはご愛敬。マスク越しでも轟いた「よっしゃ~!」の雄叫びが、日本史上5人目、そして五輪史上最年少での個人総合王者の誕生を告げた。

 「もう言葉では言い表せない。本当に人生で一番うれしい瞬間って、一番表せられないなって」

 1種目目のゆかから、力強い演技を並べ続けた。3種目目のつり輪で予定していた技が認定されず、4種目目の跳馬終了時点で4位まで順位を落としたが、それすら逆転ドラマへの布石にしか感じさせなかった。5種目目の平行棒、最終種目鉄棒で15点前後の高得点をたたき出し、鮮やかにまくりきった。

 どんな逆境にも耐えながら、穂を伸ばし、実らせてきた。実家は代々米作りを営む農家。小児ぜんそくを患っていた幼少期。祖母久子さんの作った鶏肉の入った味噌汁を栄養源に、成長していった。高齢になった祖母の負担を軽くしようと、率先して農作業を手伝ってきた橋本にとって、1年1年、1・8ヘクタールの水田に描かれるその自然の流れこそが原風景。苗を作り、田植えをし、収穫する。米俵をかつぎ、指導者から「無限くん」と名付けられるほど豊富な練習を積めるだけの基礎体力、体幹の強さを作り上げた。

 5年前のリオ五輪はまだ中学生。怪我に苦しみ、出た大会では2種目しか演技できず、107人中の最下位。「夢のまた夢」と笑っていた舞台だった。逆境を栄養に、そして出会った人に育まれて成し遂げた急成長の果てに、培ってきたものすべてをぶつけた運命の一日は、大きな実りの日となった。

 予選の鉄棒で落下し、無念の形ですでに東京五輪の舞台を下りた内村航平は話していた。「新世代のスターが生まれた。僕はもう主役じゃない」-。予言は的中した。

 体操ニッポンにとって、区切りの100個目のメダルを最高に輝かせた。内村の2連覇のバトンを受け継ぎ、日本人3連覇を成し遂げた。ただ、しっかりと堂々と自分の思いを口にする19歳は「内村さんは内村さん。僕は僕で自分の体操を極めていく」と、足元を見つめる。

 この日、橋本の瞳に歓喜の涙はなかった。「ここで涙を流してしまうと、今の状態で満足してしまっているということ。本当のチャンピオンは涙を流さず、常に前だけを見てる」。見据えるのは内村を超える個人総合3連覇。TOKYOの舞台で引き継がれた栄光が、体操ニッポンの行く末を明るく照らし出した。

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