ソフトボール上野由岐子 金ラッシュへ先陣星!伝説413球から13年鉄腕帰ってきた

 「東京五輪・ソフトボール・1次リーグ、日本8-1オーストラリア」(21日、福島県営あづま球場)

 23日の開会式を前に全競技の先陣を切って行われたソフトボールの日本は、オーストラリアと対戦。3本塁打を放つなどして8-1で五回コールド勝ちした。「復興五輪」を掲げて福島を舞台に行われた開幕戦では、2008年北京五輪金メダリストのエース上野由岐子投手(38)=ビックカメラ高崎=が先発し、4回1/3を2安打1失点、7奪三振の好投。伝説の「上野の413球」から13年、4717日ぶりの五輪の白星は東京五輪での日本勢初勝利となった。

 真っ赤なユニホームとしゃく熱の太陽がよく似合う。オリンピアンが帰ってきた。無観客のスタンドもレジェンドの復活をたたえているようだ。「これからスタート。ここからが勝負です」。上野は特に「勝負」に力を込めた。

 「みんながよく打ってくれて余裕を持って投げられたのがよかった」。初回は「丁寧に入り過ぎた」と3四死球の押し出しで先制を許したが、すぐに追いついた。転換期は三回。1-1の1死から相手の3番で北京五輪でも戦ったポーターをスライダーで見逃し三振に斬るなど、この回3三振。その裏の打線の反撃につなげた。

 2008年の北京を最後に五輪舞台から消えたソフトボール。最後の1球は、上野が2日間で3試合を投げ抜いた、決勝の413球目だった。そして、3大会ぶりに五輪競技に復活した開幕戦の第1試合。後攻で最初の1球を投げたのもまた上野。22日の誕生日を前に、38歳最後の日に自ら13年の空白を埋めた。

 前日会見で先発投手を明かしていなかった宇津木麗華監督(58)は開幕投手の選択を「上野がいて、自分たちは初めて優勝という夢がかなう。そういう意味で東京五輪は上野にスタートさせる」と説明した。五回途中まで2安打1失点、7奪三振の変わらぬたくましさに「本当に感無量。うれしいです」と言葉をつまらせた。

 膝の痛み、あごの骨折。4月初旬のリーグ戦では右脇腹を痛め、1カ月で復帰を果たした。コロナ禍で五輪開催の是否が問われるさなかだった。慎重に言葉を選び、開催を決めるのは自分たちではないとした上で上野はこう言った。

 「自分たちが目標に向かっていく姿を見せることで、先に向かおう、コロナに打ち勝たないとという思いを持ってもらえたら。大変なのは自分ではなく、みんなだと思ってしっかりプレーしていく」

 東京が終わればまた五輪競技からソフトボールは消える。運命には逆らえない。それでも、上野はあきらめない。気が遠くなるような4717日の日々を、自らの手で取り戻した。まだまだ先に進めるはずだ。

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