「壁って?」交わした姉妹のスケート談義 高木美帆、越えた先につかんだ銅メダル 女子500m
「ミラノ・コルティナ五輪・スピードスケート女子500m」(15日、ミラノ・スピードスケート競技場)
高木美帆(31)=TOKIOインカラミ=が37秒27で銅メダルを獲得。1000メートルに続いて今大会2個目、通算9個目のメダルとなった。金メダルは五輪新記録をマークしたオランダのフェムケ・コクだった。
「壁」の先に、目指してきたメダルと笑顔があった。美帆の姉・菜那さんは、22年北京五輪を終えて引退した後、競技を続ける中で「壁とは何か」という話を美帆と交わしたという。
菜那さんにとっての壁とは「絶対に乗り越えられるもの」。壁とは「人」ではなく、課題だと捉えるからだという。「金メダルを狙う中で、人を壁だとすると、美帆が金で私が5位だと越えられなかったことになる。でも、私も金を取りたいと思って来る(ぶつかる)壁は、人ではなくて、技術とか体力。自分の中にある」。それ故に、現役時代に美帆を壁だと思ったことはなかった。
一方、美帆は「壁ってさ、どこまで高いか見えなかったら意味がない。越えられる壁にも見えない」と話したという。壁が見えたと感じた時点で、既に高さは決まっている。それを越えるために、必要な努力をする。「『この壁』って思った瞬間って、もう壁の高さが分かる位置に来ている」。全ては与えられた試練。菜那さんは「(美帆にとって)越えられるものが壁なんだね、きっと」と解釈し、うなずいた。
「壁があるってワクワクしない?壁がきて、うわ、とか、キツいとか思うけど、その先にあるもののワクワクを見たくなっちゃうよね、っていう話をしていたと思います」と菜那さん。
苦しんできた今季。美帆は500メートルで出した自身のタイムでメダルに届く考えは「なかったですね」と言う。それでも、壁を越えた。美帆の飽くなき探求心は、結果となって現れた。
現役時代は「同じところを走っていく中で、聞かないことや、あえて踏み込まないことはあった」という。しかし「今はそういうものがなくなって、フラットに話せる。良い姉妹かもしれないですよね」と優しく笑う。「越えたくなるし、走り続けたくなるし、でも確かに、壁っていうものが見えた瞬間って、越えられるものなんだなって」。引退してから知った、美帆が見る世界もあった。だからこそ「ここで終わるような子じゃない」と菜那さん。努力を惜しまない妹は、本命・1500メートルの金へ、止まらずに歩み続ける。
