平野歩夢 奇跡の復活劇見せる 1月複数箇所骨折後初めて語った「今持てる力を出し切りたい」
スノーボード男子ハーフパイプのミラノ・コルティナ五輪代表で、2022年北京五輪金メダリストの平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=が4日、全日本スキー連盟(SAJ)を通じて、1月に複数箇所の骨折などを負って以降、初めてコメントを発表した。連覇とともに、4大会連続の出場が懸かる五輪へ強い意欲を示した。同代表の平野流佳(INPEX)、戸塚優斗(ヨネックス)、山田琉聖(チームJWSC)はオンライン会見に出席し、それぞれ意気込みを語った。
復活を期すスターが、負傷後初めて自らの言葉を発信した。平野歩はSAJを通じ「今まで積み重ねてきたものを信じて、あとは自分らしい滑りをするだけという気持ち。自分らしい滑りをお見せできるよう、今持てる力を出し切りたい」とコメント。連覇が懸かる4大会連続の祭典へ、強い出場意欲を示した。
1月17日にスイスで行われたW杯第5戦。1回目のトリックの空中でバランスを崩し、約7メートルの高さから、硬い雪上に顔と下半身を強打した。縦2回転、横3回転半しながら体を反らせて板の先端をつかむ荒技で、平野歩のオリジナルトリック。「練習から何回も頭から落ちたり、ほぼ逆さの状態で落ちていた」と壮絶な練習過程で身に付けた大技だったが、五輪開幕まで1カ月を切った段階で悲劇が襲った。
五輪前最後の実戦として1月末の冬季Xゲームにも出場予定だったが、緊急帰国して病院を受診。複数箇所の骨折と打撲が診断された。幸いにも骨折はズレがなく、広範囲でないことも確認できたため、SAJは腫れと痛みが引き次第、段階的に練習を再開していくと発表。他のハーフパイプ日本代表はスイス・ラークスで直前合宿中だが、平野歩は復帰へ向けて別メニューでリハビリを行っている。
中学3年で銀メダルを獲得し、一躍注目を集めた14年ソチ大会から常に世界のトップに立ち、今回で4大会連続の出場。北京大会では五輪王者になる幼少期からの夢をかなえたが「ここで終わってしまうのはもったいない。4年後も頂点を目指すことで、夢の先に自分は進めるんじゃないか」と“夢の向こう側”をモチベーションに、競技と向き合ってきた。
11日(日本時間12日)に行われる予選まで、残り1週間。「(この4年は)常に自分の課題と向き合ってきた時間だった。常に挑戦者という気持ちでやってきた。そういう意味では自分の中では、あまり変わったことはない」。冬季五輪では日本勢2人目、フィギュアスケートの羽生結弦さん以来となる2大会連続金メダルへ。スノーボード界のスーパースターが、奇跡の復活劇を見せる。
◆平野歩夢(ひらの・あゆむ)1998年11月29日、新潟県出身。15歳で初出場した14年ソチ五輪では、冬季五輪日本選手で最年少表彰台となる銀メダルを獲得した。18年平昌五輪も2位。22年北京五輪では、同種目日本勢初の金メダルを獲得した。21年東京五輪にはスケートボード・パークで出場。24年3月に結婚を発表し、25年12月に第1子誕生を明かした。新潟・開志国際高、日大出。165センチ。
◆ハーフパイプ 半円筒状の雪上を振り子のように滑りながら、左右の壁を利用して宙返りやスピンを伴う技を行い、技の難易度や完成度で得点を競う種目。五輪には98年長野大会から採用された。試合会場の大きさは、長さ150~190メートル、幅19~22メートル、高さ6~7メートル。選手は1回の滑りで5~6回の技を行い、6人の審判が技の高さ、難易度、完成度、つなぎ、演技構成などを総合的に評価し、100点満点で採点する。
