メダル候補伊藤、腰負傷で五輪大ピンチ トランポリン試技会中に…中田コーチ絶句

 リオデジャネイロ五輪に出場するトランポリン日本代表が15日、都内で試技会を公開し、12年ロンドン五輪4位で、男子のエース伊藤正樹(27)=東栄住宅=が、演技中に腰を痛めるアクシデントが発生。日本トランポリン史上初のメダルへ、暗雲が立ちこめた。

 多くの報道陣、関係者が見守った会場が凍り付いた。伊藤は2回目の試技の中盤に空中で姿勢を乱し、着地後、腰を押さえて倒れ込んだ。悔しそうに拳を叩きつけたが、その後は自力で起き上がれず、関係者にマットの上に乗せられ、トランポリンの外へ運び出された。会場内で応急処置を受けた後、車いすで医務室に向かった。

 日本体操協会によると、急性腰痛で、五輪出場には支障なしと診断されたという。ただ、トランポリンの男子トップ選手は着地の際に約1トンの負荷が掛かると言われており、メダルを目指す中、腰の負傷は“致命傷”といえる。

 かつての第一人者で、シドニー五輪代表の中田大輔コーチもショックに色を隠しきれなかった。「ここで腰とは…。あんな風に演技を止める子じゃないので、正直、簡単に練習を再開できるレベルではないと思う。本人も“(五輪は)駄目かな”というぐらいの悔しがり方だった」と、瞳を潤ませ絶句。伊藤は5月に右かかとを痛め、ここまで慎重な調整を強いられていた。「頑張り過ぎたのかもしれない。今日の演技の切れ味はすさまじかった。本当にショックすぎる」と、取り戻そうとする焦りが悲劇を生んだのか…。

 本番まであと約1カ月。シドニー五輪前にかかとを粉砕骨折しながら出場した経験を持つ中田コーチは「気持ちさえあれば、舞台に立てるとは思う。彼は気持ちで持っていく強さを持っているし、あとは彼の気持ちの強さと、軽傷であることを信じるしかない。僕にできることは全力でサポートすることだけ」と、祈るように話した。

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