村田、引退示唆「一区切りにしたい」

 これが有終の美になってしまうのか。ロンドン五輪ボクシング・ミドル級で金メダルを獲得した村田諒太(26)=東洋大職=が26日、金メダル獲得後、初の公式戦復帰となる国体近畿ブロック大会に出場し、成年の部ミドル級で優勝。京都府の岐阜国体出場決定に貢献した。試合後は「これで一区切りにしたい」と引退を示唆。海外留学の希望も明らかにした。

 今後が大いに注目される男の口から衝撃の言葉がこぼれた。試合を終えた村田は「ボクシングはこれで一区切りだと思っている。基本的に続けようと思わない」と、現役引退を視野に入れながら、長期休養する意向を明らかにした。東洋大卒業後の2008年に一度引退しながら復帰した経緯があり「また火がつくかもしれない」と含みを持たせたが、現役続行への前向きな言葉は最後まで出なかった。

 協栄ジムが契約金1億円を宣言するなど、プロの勧誘も話題になったが「金メダルが1億円以下とは思わないし、金メダルを汚すことになるかもしれない。100億円なら考えるかもしれないですが」と、プロ転向をあらためて否定した。

 指導者になる夢を抱く金メダリストは、海外留学の構想を披露した。「スポーツ科学や英語、マネジメントなどを学びたい」。場所は「日本にはアメリカから入ってきているのが多いので、いいとは思う」と話したが、時期は「家族や職場のこともあるので、いろんな人と話をしないと」と、具体的な話は出てこなかった。

 日本アマチュアボクシング連盟の山根明会長は前日、村田と会談。「4、5年くらい海外留学をしたい」と、打ち明けられていたことを明かした。「素晴らしい。本人が望むなら、連盟は100%、200%バックアップしたい」と約束。また「4年後も、という声もあるが、ボクシングは何が起こるか分からない。重量級だと健康への影響も心配。私としては、最高のボクサーのまま引退し、人間的に成長して、指導者になってほしい」と希望した。

 村田にとって、この日の一戦が五輪後初戦となった。大阪府の竹迫司登(21)=龍谷大=を上下に打ち分ける重いパンチで圧倒。3度のダウンを奪い、RSC勝ちで貫禄を示した。「お世話になったので、力になりたかった」と、京都を3位に導き岐阜国体出場に貢献。本大会には不参加を明言し、この日の試合が“ラストマッチ”になる可能性が高くなった。“村田狂騒曲”は静かに終わろうとしている。

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