浦和・武藤 “じゃない方”じゃない

 「J1、柏3-3浦和」(3日、柏)

 浦和のMF武藤雄樹(26)が勢いに乗っている。1点を追う後半ロスタイムに4試合連続となる同点ヘッドを決め、チームのJ1新記録となる開幕から14試合連続無敗に貢献した。

 仙台から移籍した初年度で、すっかり得点源の1人となったが、仙台時代は4年間でリーグ戦70試合6得点だった。今季はすでに13試合で6得点でチーム得点王。浦和に“ハマって”いる理由は何かを探った。

 武藤の強みは、第一に走れることにつきる。Jリーグの公式サイトに掲載されている「データスタジアム」によるトラッキングデータでは、この日の柏戦、スプリント(時速24キロ以上のダッシュ)が両チーム最多の25回だった。前節の鳥栖戦は浦和で3番目の16回。2試合前の鹿島戦も両チーム最多の29回という数字が残っている。

 ゴールシーンにもそのスタイルがあらわれた。この日の同点弾は、後半ロスタイムに入り、両チームの選手に疲労が見えたころに生まれた。「関根がボールを持った時にあそこのスペースが空いてましたし、ボールが来るかなと思って走り込んだら、関根が最高のボールをくれました」。武藤が振り返る通り、いるべき位置に、しっかりとポジションをとることから始まったゴールだった。

 浦和でブレークできた理由を問われた武藤は「浦和のシャドーっていうポジションを理解していて、ボールを引き出すことだったり、要求されているポジションを自分の中では理解しているつもりなので」と考えながら答えた。シャドーとは、1トップの背後で自陣からのパスを受けたり、相手守備の裏に抜け出してゴールを狙ったりするポジション。柏戦では、常に細かく相手守備の間にポジションを変え、時には裏に飛び出してパスを引きだそうとしていた。

 仙台で決して主力とは言い切れなかった武藤の加入は、ペトロビッチ監督の希望もあって実現した。「1年、しっかり彼を見てきた。われわれのサッカーに合うのではというフィーリングを受けた」。他クラブからのオファーも受けていた武藤は、指揮官からシャドーで起用したいという具体的なプランを提示されたことや、強豪クラブに挑戦したいという思いから浦和入りを決めた。

 4試合連続ゴールは07年のFWワシントン以来。ほかには福田正博、エメルソン、田中達也といった浦和の“レジェンド”と呼ばれた選手の名前が並ぶ。柏戦のヒーローは取材エリアでDF森脇から「武藤!記者も多いよ!」というヤジも。記者からも突っ込まれると、「レジェンドの人はいろんな部分で貢献しているので、僕はこれからも貢献していければ」と謙遜した。

 FC東京の日本代表FW武藤嘉紀と比較して“じゃない方の武藤”などと自虐ネタを飛ばしていたのも過去の話。「せっかく出してもらっているのに疲れた姿は見せられないですし、使ってもらっているのは意気に感じている。正直、こうやって試合に出続けることができなかったので」と連戦の疲れも笑い飛ばした。昨年、終盤に失速して優勝を逃した浦和に、武藤の献身性が活力を与えている。

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