“山の神”山岸「悔しい」天皇杯準V

後半、G大阪のパトリック(右)めがけて入ったクロスを、パンチングで防ぐ山形GK・山岸範宏。中央は山形・石井秀典=日産スタジアム(撮影・吉澤敬太)
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 「天皇杯・決勝、G大阪3-1山形」(13日、日産ス)

 クラブ史上初めて決勝に進出した山形は、J1王者との力の差を痛感する1-3の敗戦となった。6月に浦和から移籍し、チームの軸となったGK山岸範宏(36)は「悔しさを忘れてはいけない」と語気を強めた。

 表彰式の直前に円陣で、山岸は“最後のゲキ”をチームメートに飛ばした。「下を向いているとか、メダルをすぐ外すとか、そういうことではなくて、最後まで堂々と振る舞おう」。来季J1で、G大阪を含めた他のクラブとも互角に戦うために必要なことを考えた上での発言だった。

 スタジアムはJ2ながら健闘した山形をたたえる空気に包まれていた。だが、山岸の考えは違っていた。「自分たちが体感した、J1チャンピオンとの力の差。トータルした力の差もありますけど、(それを)シーズンオフで薄れないようにしたい」と来季へ視線を向けた。その悔しさの中に「相手の表彰式を見た悔しさ」も含まれていた。

 J1昇格プレーオフ準決勝の磐田戦で見せた決勝ヘッドで一躍時の人となったが、浦和時代から通じての山岸の持ち味はチームメートを鼓舞し続け、自分も腐らない気持ちの強さにある。

 浦和時代の03年から09年までは日本代表GK都築龍太と、し烈な守護神争いを繰り返した。その後、11年のシーズン中盤から13年の終盤にかけては加藤順大に定位置を譲ったが、独自の練習は欠かさなかった。その当時から浦和の土田GKコーチは「あいつ(山岸)との付き合いは長いけど腐ったりしたことはない」と練習に取り組む姿勢を評価していた。

 3失点を喫したこの試合でも、その持ち味は出た。失点時には、ピッチ中央付近まで駆け出して「まだ全然大丈夫だ」と味方を盛り上げた。1失点目、宇佐美のボレーを内側にはじき先制を許したもの、前半終了間際にはCKから岩下のヘッドを足でセーブ。後半21分には、果敢な飛び出しから相手のパスをヘディングでクリアする場面もあった。

 出場機会を求めて今年6月に山形へ移籍した後は、クラブの広告塔役も担った。現在36歳。「自分のキャリアをよみがえらせてくれたクラブに対して、できることは全てやるとお願いしてある」と全てをささげる覚悟でいる。

 浦和からは今季終了までの期限付きで移籍している。Jリーグ関係者によれば、浦和に復帰する可能性は低く、山形が完全移籍での獲得を目指している状況だ。山岸本人は「来季のことは決まっていない」と言葉を選んだが、すでにチームの愛称にもちなんだ“山の神”のニックネームも浸透しつつある。移籍して半年で、山形に欠かせない存在となったことは間違いない。

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