イチローが二塁上で笑みを浮かべた理由
「メッツ2-1マーリンズ」(13日、ニューヨーク)
マーリンズのイチロー外野手(42)はメッツ戦に「2番・中堅」で出場し、4打数1安打。今季7戦目で初めて先発で起用され、四回に今季初長打となる二塁打を放った。
滑り込むことなく、楽々と二塁を陥れた。今季初のスタメン出場。イチローが躍動したのは四回の第2打席だ。右腕バーレットにカウント0-2と追い込まれながら低めのカーブを右中間へ弾き返した。初回の打席で仕留め損ねた、同じ球種をしっかりとらえてみせた。
ライナー性の打球が中堅手の右を抜けるのを見てぐんぐん加速した。一塁を回る際に歩幅が合っていれば、3つ目の塁を狙えたかもしれない当たりだった。
二塁に達したイチローに近づき、声を掛けたのは遊撃手のA・カブレラだ。07年にインディアンスでメジャーデビューしているが、06年まではイチローと同じマリナーズのマイナーに所属。招待選手として出場したシーズン前のオープン戦ではチームメートでもあった。
カブレラはイチローにあいさつした際にこんな質問をぶつけている。
「ヒットを打つのは簡単ですか?」
この日の1本でメジャー通算2937安打、日米通算4215安打。プロ25年目の大ベテランは笑顔でこう答えたという。
「簡単に打ったことなんて一度もないよ」
ナイトゲームの翌日のデーゲーム。選手の疲労を軽減するため試合前練習が行われなかったフィールドでイチローはいつものようにストレッチとダッシュで体をほぐし、キャッチボール、遠投、そして、最後はストレッチで締めてゲームに備えた。
中堅の守備は今季初めて。イチローはプレーボール時にはほぼ頭の真上にあった太陽の位置を分刻みで確認しながら、2つの飛球をきっちり処理した。マーリンズの広報によると、42歳以上の選手が先発でセンターを守るのは、02年7月のリッキー・ヘンダーソン(当時43歳)以来だったという。
チームは四回無死二塁、七回無死満塁の好機を生かせず、1点差で敗れた。3連勝を逃し、再び、借金生活に入った。悔しい今季初の先発出場。試合後のクラブハウスで試合に臨む気持ちを問われたイチローは「今さら説明することもないでしょ」と多くを語ることなく、球場を後にした。



