イチローが語ったボンズのスイング

 「メッツ-マーリンズ」(12日、ニューヨーク)

 マーリンズのイチロー外野手(42)はメッツ戦で七回に代打で途中出場し、遊撃内野安打。メジャー通算2936安打とし、自軍の打撃コーチでもあるバリー・ボンズ(51)の記録を抜いて歴代単独34位になった。

 ◇  ◇  ◇

 「力強いのにきれいだよね」。

 イチローがバリー・ボンズのスイングを見て感嘆の声を上げたのはマリナーズ時代の06年6月16日のことだ。シアトルのセーフコフィールドで行われたジャイアンツ戦。イチローが初回に先頭打者弾を放てば、ボンズも負けじと二回に豪快な一発を右中間席へ叩き込む。2人がアーチで競演した試合でもあった。

 当時のボンズは41歳11カ月。ジャイアンツの不動の4番として打席に立ち続ける精神力の強さを問われたイチローはこう話している。

 「そういうものを超越している感じがするよね、あの技術が」。

 そして、オリックスの選手として出場した98年の日米野球でセンターの守備位置から見た、佐々木(当時横浜)とボンズの対決を思い返しながら「その時に驚いたんですね、(ボンズは)三振しましたけど、あの中にその秘密を感じた」とも言った。

 そのボンズは07年のシーズンを最後に引退。イチローは同じ時代に生きていることに「史上最高のバッターという人もたくさんいますからね。そんな人と一緒にやれることは、あとから『おーっ!』って思うんでしょうね」としみじみ話したものだ。

 あれから10年-。今年10月で43歳になるイチローはマーリンズの一員として4月12日のメッツ戦でメジャー通算2936安打目となるヒットを放ち、ボンズの安打記録を抜き去った。

 くしくも今季からマーリンズの打撃コーチを務めているボンズは、その瞬間を三塁側ベンチから見ていた。攻撃を終えてベンチに戻ったイチローに「おめでとう」と声を掛けたというボンズコーチ。「とてもハッピーだよ」と笑顔で言った。

 悔やまれるのは、ボールがイチローの手元に戻らなかったことだ。メッツの遊撃手が捕球したボールは一塁に送球された後、二塁走者が本塁を突いたために一塁から本塁へ。クロスプレーの興奮とともにボールの行方はわからなくなってしまった。

 試合前に「打ったボールが欲しい」と冗談とも本気ともつかない発言をしていたボンズコーチは、記念球を手にできなかったことを残念がり、「次のボールはサイン入りで私がもらうから」と言ってニヤリと笑った。

 年間262安打や10年連続200安打などの記録でメジャー史を塗り替えたイチローと、年間73本塁打や通算762本塁打などのメジャー記録をもつボンズ。イチローが放つ2937安打目の打球は2人の偉大な打者を結ぶボールとなる。

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