【専門家の目】鳩山氏 考えにくい死因

 法相や総務相を歴任した鳩山邦夫氏が亡くなった。まだ67歳とあり、早過ぎる死を惜しむ声が後を絶たない。死因は「十二指腸潰瘍」という。兵庫県芦屋市の「松本クリニック」松本浩彦院長に聞くと、若い世代に多い病気で原因はストレスやアルコールなど。ただ、現代では治癒することが多く、ほかの病気が併発した可能性を指摘した。

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 鳩山邦夫氏と言えばかつて総務大臣まで務められた大物政治家ですが、死因として報道されているのは「十二指腸潰瘍」とのことです。十二指腸は胃から続く消化管でその管の内部は粘膜で覆われています。潰瘍というのは、胃酸によってその粘膜が溶けて穴が掘られたような状態で、進行すると穿孔(せんこう)、つまり穴が深くなって十二指腸の外壁にまで穴が達してしまいます。

 現代でもきわめて良くみられる病気で、10代から20代の若い人に多く、原因はストレスと酒と運動不足です。ですが、今は胃酸を抑える良い薬がたくさん開発されていますので、胸やけや空腹時の腹痛などを訴えて医師のもとを訪れ、薬をもらってちゃんと飲めば普通に治ります。十二指腸に穴があくほど悪化することはまずありませんし、十二指腸潰瘍が原因で亡くなるなど、今の日本の医療ではまず考えられません。

 一部の報道で鳩山氏が半年ほどで「激ヤセ」したという情報もあります。これらから考えて、おそらく鳩山氏は以前から糖尿病もしくは、どこかの部位の悪性腫瘍、要するにがんを患っていたと私は推測します。入院していて亡くなったということですから、病気が進行し全身状態が悪化して入院中に、例えば鎮痛剤を大量に服用していて、その副作用で十二指腸に穴が開いてしまった。

 しかし全身状態が悪すぎて十二指腸の穴をふさぐ手術すらできなかった。つまり十二指腸潰瘍が穿孔して腹膜炎を合併し、全身に感染が広がって亡くなったということで、死因は十二指腸潰瘍、という発表もウソにはなりません。

 今の日本の社会で、現役の政治家が糖尿病やがんにかかっていると発表することで世間に与える影響は、非常に大きなものがあります。政治の世界は大変だと聞きますから、いかに大病を患っても隠さねばならない事情はたくさんあるでしょうし、だからといって、選挙で選んで下さった人々のことを思えば、治療に専念するために仕事を途中でほっぽり出すという訳にもいきません。大病と闘いながら政治家の職務を続け、道半ばでこの世を去ったことは、鳩山氏にとってはさぞ無念だったと思います。ご冥福をお祈りいたします。

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