歌舞伎俳優の松本幸四郎（７１）が２４日、東京・国立劇場で会見し、前日の公演中に起きた舞台からの転落と体調の無事を報告した。

　幸四郎は２３日、同所で「一谷嫩軍記（いちのたにふたばぐんき）」上演中に、２人の黒子からなる馬にまたがり花道から登場した際、前脚の黒子がバランスを崩したことから舞台下の客席に転落した。馬上から花道中盤の客席床は約３メートルの高さだった。

　会見に姿を見せた幸四郎はいつもと変わらぬ足取りで「お騒がせいたしました」と一言。「かすり傷一つなく痛みもありません」と大事に至らなかった事を報告した。前日もこの日も、病院には行っていないという。

　同所は、長男・市川染五郎（４０）が昨年８月に奈落へ転落し重傷を負った劇場でもありファンの間で心配する声もあったが、幸四郎は「役者だからか緊張感と度胸が出た」と、転落直後に花道にのぼり芝居を続けた役者魂を振り返った。この日の同場面では観客もいっそうの注目をしていたといい「うまくいって、（袖に）引っ込んだら大拍手でした」と照れ笑いしていた。