水原一平被告は禁錮4年9月 困窮で情状酌量の訴え一蹴、26億円賠償命令 日米往復「ファーストクラス」、ポルシェ提供

 判決を受け、裁判所を後にする水原一平被告(撮影・小林信行)
 量刑を言い渡され、米カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁を出る水原被告(中央)=共同
2枚

 米カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁は6日(日本時間7日)、ドジャース・大谷翔平選手(30)の銀行口座から約1659万ドル(約25億円)を盗み、賭博の胴元側に不正送金したとする銀行詐欺などに問われた元通訳・水原一平被告(40)に、求刑通り禁錮4年9月を言い渡した。大谷への賠償金1697万ドル(約26億円)を含む1812万4410ドル(約28億円)の支払いと、釈放後3年間の保護観察を命じた。同被告は3月24日までに出廷し、南カリフォルニアの刑務所に収監される。

 上下黒のスーツと黒地に白い水玉のネクタイ。ふぞろいな髪が襟まで伸びた水原被告は背筋を伸ばし、微動だにしなかった。開廷から1時間20分が経過した10A号法廷に判事の声が響いた。自身や家族の情状酌量の訴えが認められなかった判決。法廷を出た“受刑者”は報道陣の質問に無言を貫き、裁判所前に用意された黒塗りの大型車に乗り込んだ。

 裁判所関係者が45分と予想した判決は1時間40分に及んだ。双方から提出された準備書面。判事から質問攻めされたのは被告の弁護人だ。「低賃金」、「ギリギリの生活」。選手を支えるために自身や家族を犠牲にし、“困窮”を訴えた水原被告に対し、判事は検事側が提示した19万5000ドル(約3000万円)もの預金額などの証拠を公表し「真実を偽っている」と断罪した。

 さらに、新たな事実として水原夫妻の日米往復航空券は選手が「ファーストクラス」を用意したこと、大谷がスポンサー契約を結ぶ高級車のポルシェなどの提供、シーズン後に大谷ら複数の選手から数万ドル単位のボーナスを受け取っていたことなども明らかになった。

 判事の指摘に対し、弁護人のフリードマン氏は苦しい抗弁となった。同被告が「やりくりの助け」のために手を出した違法賭博についても、ギャンブル依存症の原因を「特異な環境」との言葉を繰り返した。大きな収入を得ているスター選手がそばにいたことで胴元の融資額が増え、「彼の仕事が依存症を悪化させた」と責任転嫁するような発言を口にした。

 公判の途中では水原被告が証言台に立ち、英語で「大谷氏には本当に申し訳なく思っています」と謝罪。「自分の行いを深く反省し、あなたの慈悲を乞い、今後に生かしていきます」と訴えたが、判事の心には響かなかった。

 閉廷後、裁判所前で記者会見を開いた連邦検事代理は水原氏を「恥ずべき行為」と非難。「大谷氏はこの事件の被害者。彼は水原氏に金を盗まれ、利用され、食い物にされた」と厳しい口調で言った。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

大リーグ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(大リーグ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス