カブス 今永昇太の直球はメジャーで通用するのか「僕がここで生き残るためには」オープン戦初登板で見えた課題
「オープン戦、ドジャース8-5カブス」(2日、グレンデール)
カブスの今永昇太投手がドジャースとのオープン戦に初めて登板した。メジャー移籍後初の実戦のマウンドは三回途中、41球を投げて3安打3失点5奪三振だった。ドジャースの大谷翔平選手は予定通り、欠場したため、日本人対決は実現しなかった。
強い気持ちをボールに込めた。初回1死で実現した20年MVP受賞のフリーマンとの対決。欠場した大谷に代わって2番に入った巧打者に今永が真っ向勝負を挑んだ。フルカウントから外角高めの直球でバットに空を切らす。この日最速の151キロ。渾身の1球だった。
メジャー移籍後初の対外試合。三塁側の敵軍ベンチからWBCの同志、山本由伸投手が見守る中、背番号18は一塁ベンチからゆったりとした足取りでマウンドに向かった。球審からボールを受け取る時は帽子のひさしに手をやって会釈。落ち着きぶりを証明するかのように1イニング11球で3人を料理。世界の頂点に立った先発陣の片りんを見せつけた。
しかし、完璧投球の中で確信したことがあった。1番ロハスと3番スミスを直球で打ち取った2つの外野フライだ。「自分では押し込んだと思ってもフェンス際まで飛ばされていたので、(日本とメジャーの)バッターの違いがあるのかなと」。フリーマンを斬った直球も「欲を言えば、もっと高めに投げて空振りを取れたら良かったんですけど、あれは中途半端な真っすぐではある」と要改善を口にした。
その投球は二回に暗転する。4番マンシーに対してはカウント2-2から決めにいったスライダーをしぶとく右前は運ばれる。5番T・ヘルナンデスには二ゴロに打ち取ったと思われた打球が内野安打になった。無死一、二塁のピンチを背負ったところでキューバ出身の23歳パヘスに1ストライクから内角へ投げ込んだ150キロ直球を完璧にとらえられる。左翼芝生席を楽々と超えていった特大の一発だった。
マウンド上で思わず声を上げた今永は「直球は自分の中では走っていたつもりではいたんですけど、ああいうふうにはじき返されてしまったんで、こりゃダメだな、というか、これはしっかりと変えなきゃいけないと思った」。さらに「自分がいいと思った真っすぐが、必ずしも相手にはいいとは思わないですし、投げ切ったボールでもああいうふうにホームランにされてしまうこともある。僕がここで生き残るためには真っすぐと変化球のバランスをその試合の中でどう配分を変えるかだと思う。相手が待ってないボールを予測して投げなければ、通用しない時もある。そこを冷静に判断して、強引にいってはいけないところを確認してやりたいなと思います」とも言った。
その言葉どおり、3ラン被弾後は配球を変化球主体に切り替えた。スライダーとチェンジアップ、さらにはカーブを交えて圧巻の4者連続三振を記録した。最後の三振を奪った相手は2巡目となった1番ロハス。フルカウントから捕手が出した「直球」のサインに首を振って宝刀のチェンジアップを投げ込んだ。
「あれが強引に真っすぐにいってホームランを打たれることがよくあるので、あそこで一歩引いて自分を客観的に見てチェンジアップを選択できたのは良かったと思いますね」
実戦のマウンドで見つかった様々な課題。41球を思い返し「スプリングトレーニングとはいえ、こうやっていい結果が出なかったことに対してはものすごく悔しい気持ちですし、この悔しい気持ちをもって次の登板に臨みたい」と闘志を燃やした今永。この日収穫は無四球で終えたこと。「そこだけは自分に合格点をあげていいのかなと思ってます」と言った。
降板後、球場からクラブハウスへ戻る途中に山本と大谷と個別で談笑した。短い時間ではあったが、大きな刺激になったようで「2人は結果を残しているので、後れを取らないように自分も結果を出して、早く追いつけるようになりたいと思います」。
昨オフにDeNAからポスティングシステムを使ってカブスと4年5300万ドル(約80億円)で合意。メジャー1年目の開幕までおよそ3週間。投球の軸となる直球はこの日、初回こそ151キロを計測したが、三回には140キロ台まで落とした。
「コンスタントに93(マイル=約150キロ)ぐらいは出したいなと思ってますし、こっちの平均球速は速いので、僕が生き残るためにはその人たちを上回ろうとするんじゃなくて、どこか異ならなきゃいけない。リラックスしたフォームから急にボールが出てくる、(打者が)なんかタイミングが合わないとか、そういったところで勝負しないと生き残れない。もっとリラックスして力を抜いて93マイル(約150キロ)、94マイル(約151キロ)が出るようなメカニズムで投げられたらいいなと思ってます」
昨季、セ・リーグの奪三振王がピッチングに磨きをかけていく。
