大谷翔平が左手で勝利のハイタッチ 右肘靱帯損傷の影響を感じさせない大暴れも さりげなく患部を気遣う
「メッツ3-5エンゼルス」(26日、ニューヨーク)
エンゼルスの大谷翔平投手が「2番・指名打者」で出場し、3打数2安打1四球、1打点、2得点、2盗塁の活躍でチームの連勝に貢献した。試合後には靱帯損傷の重傷を負った右肘をかばうように、チームメートと左手でハイタッチをかわした。
笑みを浮かべ、グラウンドに出て選手たちが戻ってくるのを待っていた大谷。歓喜のハイタッチがはじまると、背番号17はそっと左手を出した。本来であれば右手でタッチをかわすのが慣例。痛めた患部に響かないよう、他の選手、首脳陣が差し出す右手に体をくねらせながら左手を出して勝利の余韻をかみしめた。
大谷が以前から見せていた患部へのささやかな配慮。現地中継局もSNSでアップしたほど注目を集める形となった。だがグラウンドでは負傷の影響を感じさせないほどの大暴れを見せた。初回にカウント2-1から右翼ポール際へ特大ファウルを放ち、アッパーデッキの下部にあるLEDビジョンを直撃して破壊した。直後、スコアボードには「私たちは請求しますよ。ショウヘイ」の文字が。スタンドがざわつく中、追い込まれながらも高めの直球を捉えると、打球は右中間を真っ二つに破った。
滑り込むことなく悠々と二塁に到達すると、続くドルーリーの中前適時打で先制のホームに鮮やかなスライディングを決めた。二回2死一塁の第2打席では、うまく変化球を引っ張り込んで右翼線への適時三塁打。これでリーグトップタイの8本目をマークし、三塁打王にも立った。打点もこの時点でトップまで3打点差。本塁打と打点の2冠も射程圏内に捉えた。
四回の第3打席では四球で出塁すると、ニューヨークのファンは自軍のピッチャーに大ブーイング。騒然となる中、みぞおちに捕手の送球が当たるアクシデントがありながらも、二盗&三盗を決めた。九回の第5打席で敬遠されると、再びニューヨークのファンは大ブーイングをメッツベンチに浴びせた。
この試合で3度目のマルチ盗塁、さらに2年ぶりのシーズン100得点に到達した大谷。敵地のファンを虜にする大暴れだったが、ラストシーンは右肘の重傷を負っている現実に引き戻されるかのようだった。メッツのミナシアンGMは負傷発覚直後に「彼はプロだ。強い精神力の持ち主だ」と語っていた。
敵地のファンをも熱狂させてしまうスタープレーヤー。打者・大谷だけでも、見る者すべての心に訴えかけるインパクトがある。




