大谷、弔い安打 前日チーム宿舎で同僚急死…「悲しみの中、発する言葉もありません」

 「レンジャーズ4-9エンゼルス」(2日、アーリントン)

 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が2日(日本時間3日)、敵地で行われたレンジャーズ戦の八回に代打で出場。右前打を放って、打率を・303とした。前日にチームメートのタイラー・スカッグス投手(享年27)が急死。ショックを乗り越えて打席に立ち、亡き同僚に安打と勝利をささげた。

 生きたくても生きられなかった仲間に届けとばかりに食らいついた。バットを伸ばし、最後は右手一本で右前へはじき返した。7試合ぶりの代打起用で放ったヒット。天国に旅立ったスカッグスにこの1本をささげた。

 ウソであって欲しかった。地元警察がチーム宿舎の一室で、スカッグスの死亡を確認したのは前日午後2時すぎ。5時間後に始まる球場へ向かう準備をしている最中だった。

 球団の発表を受けて選手たちがSNSで悲しみをつづる中、大谷は沈黙を貫いた。本拠地で使用するロッカーの場所は近い。メジャー1年目の昨季は、先発陣の一員として苦楽をともにした間柄。その死を受け入れることができなかったのかもしれない。

 一夜明けたこの日の試合前、大谷が球団を通じてコメントを出す。「昨年の入団以来のチームメートで、親しかったスカッグス投手が突然亡くなられた悲しみの中、発する言葉もありません。今はただただ同投手のご冥福を心からお祈りしております」。行間から悲痛な思いがにじみ出ていた。

 この日の出番は八回1死一塁の場面。ユニホームの左胸に『亡き兄』の背番号「45」のワッペンをつけて打席に立った。フルカウントからの9球目、横手左腕の外角低めスライダーをバットの先で捉える。再び、打率を3割に乗せた。

 試合前には両軍の選手や首脳陣がベンチ前に整列して黙とうした。試合前、試合中は客席を盛り上げる音楽やアトラクションは一切なし。敵軍選手は登場曲も自粛し、弔意を表す。厳かな空気の中で試合は進行された。

 勝利の瞬間、エ軍のベンチに笑顔はなかった。ベンチからフィールドに出た大谷は一人一人と力いっぱい抱擁した。弔い星。27歳の若さで逝ったスカッグスは、大谷の心の中で永遠に生き続ける。

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