広島からポスティングシステムでのメジャー挑戦を希望していた前田健太投手（２７）が７日（日本時間８日）、ドジャースと８年契約を結んだ。ロサンゼルスのドジャースタジアムで入団会見し、２００投球回とチームの優勝を目標に掲げ、チームへの恩返しを誓った。背番号は広島時代と同じで、かつて黒田が付けていた１８番に決まった。

　無数のフラッシュを浴びた。まばゆい光の中で、前田は興奮を隠さなかった。ドジャーブルーの帽子をかぶり、背番号「１８」のユニホームに袖を通す。キラキラと目を輝かせながら、ゆっくりとマイクに向かった。

　「前田健太です。広島東洋カープから来ました。ドジャースの一員になれて、とても光栄です」。英語で自己紹介した。憧れ続けたマウンドに立てる喜び。心からの、とびきり笑顔だった。

　メジャー投手史上最長タイとなる８年契約。だが、年俸総額は２５００万ドル（約２９億５０００万円）。１年平均で３１２万５０００ドル（約３億７０００万円）に抑えられた。「身体検査でイレギュラーな点があった」。詳細は明かさなかったが、メディカルチェックで問題点が見つかった。米複数メディアによれば、異常が見つかったのは右肘内側側副じん帯。いずれダルビッシュ（レンジャーズ）のように修復手術を必要とする可能性が出てきたという。それが低額年俸に反映された。

　一方で、登板数や投球回に応じた高額な出来高が設定された。すべてクリアすれば１年で最高１０１５万ドル（約１１億９８００万円）を手にできる。「日本で９年間プレーしてきて一度も長期離脱はない。不安は全くない。これから先もずっと投げる自信がある」。中４日登板や滑りやすく肘に負担がかかるといわれるメジャー球も１３年のＷＢＣで経験済み。「２００回はしっかり投げたい」とフル回転する決意を口にした。

　サイ・ヤング賞３度のカーショーを筆頭に先発左腕はズラリと並ぶが、右腕はマエケン１人。記者会見に同席したフリードマン編成本部長は「闘争心のある選手。チームが勝つ手助けをしてくれる」と期待を寄せた。

　「長期の保証をしてもらい、最大限の評価をしてもらった。勝ってシャンパンファイトがしたい」。ド軍のワールドシリーズ制覇は８８年までさかのぼる。夢舞台で始まる新しい挑戦。前田健太が大きく羽を広げて、チームの希望になる。