トキはサワが捨てた野花に気づいてた? 同じにはなれなくても「なんかわかりあえてる」…幼なじみ2人の関係【ばけばけ】
今週放送された連続テレビ小説『ばけばけ』第17週「ナント、イウカ。」では、週タイトル通り、トキ(高石あかり)の親友であるサワ(円井わん)のなんともいえない感情が描かれていた。
ヘブン(トミー・バストウ)と結婚してからというもの、「松江のシンデレラ」とばかりに祭り上げられ、町の人々の耳目を集めているトキ。そんな幼なじみを遠目に見ながら、サワはモヤモヤとした感情をぐっと押し込め、正規教員の試験に向けて猛勉強をしていた。
■ サワとトキの心情を表したふたつの「野花」一方の境遇が急に変わったことで、あんなに仲の良かった親友どうしが気まずくなってしまう。こうした人生の「あるある」を、『ばけばけ』はトキが結婚してからの第15・16・17週と、3週にわたって繊細に描いてきた。そのキーアイテムとなったのが、ふたつの「野花」だ。
第15週・第74回で、サワがトキの結婚のお祝いに野花を携えてヘブン邸を訪れたシーンが記憶に残る。玄関先でサワが声をかけると、松野家が金貸しの銭太郎(前原瑞樹)に大金を渡し、借金を完済したやりとりが聞こえてくる。
さらに、屋内に目をやると、高価そうな花瓶に生けられた大きくて豪勢な花が。引け目を感じたサワは、持ってきた野花を庭の植木の下に捨ててしまった。
1月30日に放送された第85回では、ずっと会話もままならなかった2人に、やっと「仲直り」のシーンが用意されていた。勉強を教わった縁で庄田(濱正悟)と惹かれあい、彼からプロポーズを受けたサワだったが、「自分の力でここ(天国町)を出る」と誓いを立てていた彼女は、それを断ってしまった。
「あの人の手、どげしても掴めんかった」「好きだったのに」と泣き崩れるサワを、トキが抱きとめる。トキの手には、豪勢な花束ではなく、野花が握られていた。
第74回でサワが捨てた野花と、第85回でトキが仲直りのために持ってきた野花。この対になった2つの野花の意図について、制作統括の橋爪國臣さんに聞いた。
■「視聴者の想像におまかせしますが、僕の予想では…」トキは、サワが庭に捨てた野花にその後気づいたのだろうか。野暮を承知でたずねてみると、橋爪さんは
「そこの裏設定は、演出と俳優さんに完全におまかせしていました。ふじき(みつ彦/脚本家)さんの台本にも書かれていませんし、トキが気づいたのかどうかについては、視聴者の皆さんの想像におまかせします。
ただ、おそらく芝居をするために演出と石あかりさんで『どうだったのか』という話はしたと思います。僕の予想では、たぶんトキは気づいたんだろうなと思っています。でも、予想です(笑)」と語った。
■ 第85回の野花は、トキなりの贖罪続けて、第85回でトキが野花を持ってサワに会いに長屋を訪れたシーンの意図についても明かす。
「この場面に関しては台本のト書きに『トキ、手に野花を持っている』と書かれていました。このシーンは、トキなりの贖罪みたいなことを表していると思うんです。
結婚後のトキとサワの間に距離が生まれて、サワのなかの何かギスギスした感情にも、たぶんトキは気づいている。彼女なりに『仲直りしたい』と思って野花を摘んできた。
でも客観的に見れば、『サワと同じ目線になって野花を』というトキの思いが逆に嫌味にもとれてしまうし、気遣いが裏目に出ているシーンともいえます」。
■ なぜ泣いているのか、本当のところはわからないけれど…さらに橋爪さんは、「サワがなぜ泣いているのか、なぜ庄田のプロポーズを断ったのか、トキも本当のところはわかっていないんです。でも、トキはサワを抱きしめる。
共に長屋で暮らしたあの頃には戻れないし、同じにはなれないけれど、『なんかわかりあえてる』というふたりの関係性が伝わるシーンになっているのではないかと思います」とコメントした。
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次週、第18週「マツエ、スバラシ。」では、トキにとある災難がふりかかる。トキとサワの「なんかわかりあえてる」関係性の、その後にも注目したい。
取材・文/佐野華英
(Lmaga.jp)
