「織田兄妹」にも注目!宮崎あおいの「市」は参謀タイプ?…3年前は北川景子【豊臣兄弟!コラム】
豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。1月11日放送の第2回「願いの鐘」では、織田信長の野望に翻弄された妹・市が初登場。兄との親密な様子が描かれると同時に、この兄妹関係が豊臣兄弟の対比となっているところが見て取れた。
■ 織田信長が岩倉城に総攻撃…第2回あらすじ小一郎の兄・藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)が仕える清洲城城主・織田信長(小栗旬)は、尾張一統を目指していた。岩倉城城主・織田信賢からは降伏の申し出があったが、信長はこれを一蹴し、岩倉城を攻め滅ぼすよう命令。
信長の妹・市(宮﨑あおい)は、信賢は隣国の大名・今川義元(大鶴義丹)と通じているのではと忠告した。信長は主だった家臣たちと岩倉城攻略に向かい、市は退屈しのぎに清須に残っていた藤吉郎を呼び出す。
藤吉郎は、母・なか(坂井真紀)が何度も自分に聞かせてくれた、村にある「願いの鐘」の話をする。話を楽しんだ市は、実は今自分は苦しいと藤吉郎に告白。兄妹はなぜかお互いのことがわかってしまうので、自分が苦しいのは兄・信長が苦しいからだと話した。
その頃信長は、岩倉城の城下を焼き尽くして総攻撃を仕掛けることで、信賢を尾張から追放することに成功。浮かぬ表情を隠して、皆と勝ち鬨をあげるのだった。
■ もう一つのきょうだい「織田兄妹!」この第2回では豊臣兄弟以外に、もう一つのきょうだいの話が展開された。信長&市の「織田兄妹!」だ。全国統一という壮大な夢に挑み「魔王」と恐れられた兄と、「戦国一の美女」とうたわれ、二度も婚家を攻め滅ぼされた悲劇の妹。
今回、信長は『鎌倉殿の13人』(2022年)の北条義時役の小栗旬、市は『篤姫』(2008年)の篤姫(天璋院)役の宮﨑あおいと、どちらも大河ドラマの主演経験者。すでに完成済みのビジュアルに、SNSでも「大河主演俳優同士の演技合戦」「同じ場面にいることに感動」などの声があった。
市といえば、昔は男たちの権力争いの駒にされて、悲しい最後を遂げた薄幸の女性というイメージが全面に出ていたが、
前回の戦国大河『どうする家康』(2023年)では、男に混じって力比べに参加したり、「北ノ庄城の戦い」で実質的な指揮官になったりと、戦乱の世に生まれたことを謳歌する凛々しい女性を、北川景子が演じていた(しかも娘・茶々との2役!)のが記憶に新しい。
そして、今回の市だが、早速信長に現在の情勢について意見を述べるなど、これまた戦国の世に見事に適応した女性に。
北川の市が武闘派タイプで、兄のことを客観的に観察している感があったのに対して、宮﨑の市はどうやら頭脳派・参謀タイプの立ち位置のようだ。この時点ではまだ10代前半という設定にも関わらず、グッと声を低くして、すでに並々ならぬ貫禄が伝わる宮﨑の演技にも目を引かれた。
ただ、北川の市と大きく違うのは、兄が苦しい時は自分も苦しいという、魂が共鳴してるような関係になっていることだ。ちょっとブラザー・コンプレックスを感じさせるようなところもあり、また新鮮な兄妹関係を見せてくれそうな予感がする。
さらに、秀吉とは結構仲が良い間柄で描かれていることも、これまでにあまりなかったような気が。秀長とはどのような初対面を果たし、どのような交流を見せるのかに注目したい。
■ 戦国の世をくぐり抜ける、対照的な兄弟関係そして、この織田兄妹は、豊臣兄弟結成の重大なきっかけを与えた。市に「兄妹はお互いのことがわかる」と言われて自覚したのか、村が襲撃された弟の恐れや嘆きを感知したかのように、突然秀長の元を訪れたのだ。
あまりにもタイミングがドンピシャなので、SNSでは「弟を懐柔するために、秀吉が野武士を送り込んだのでは?」という憶測も流れたけれど、さすがに現時点の秀吉の地位で、当時は高級な火縄銃(今ならロケットランチャー持ってるような感覚)を何丁も所有するような集団を動かすことは不可能に思える。
誰もが状況に応じて掌をクルクル返す戦国の世で、この2つの兄弟(妹)は強い血の絆で乱世をくぐり抜けていくことになるが、「それ以外」の兄弟関係は対照的だ。
織田家での信長の地位は決して盤石なものではなく、弟・信勝(中沢元紀)一派にその地位を狙われ、やむなく弟を殺害するに至る。その事件が起こったのは、実は第1話の1年ほど前のこと。小栗版信長がすでに闇落ち感満載で、市が兄の心にことさら敏感なのは、これを踏まえてのことだろう。
一方、豊臣兄弟のほかの姉妹は、人一番たくましい長女・とも(宮澤エマ)と、無邪気な末っ子・あさひ(倉沢杏菜)。ともは秀吉をやや疎んじてる感じではあるものの、基本的には全員和気あいあいとしている。
さらに、兄弟が家を離れたとしても、ともがこの機会に結婚して家をしっかり守るから、安心して自分の道を切り開いておいで! という懐の深さもあるわけで、秀吉と秀長だけでなく、実は彼女たちも含めた「豊臣兄弟(姉妹)!」なのだろう。
このあと秀吉が出世していくに連れて、姉妹だけでなく、姉妹の夫たちも否応なく乱世の第一線に巻き込まれていくことになる。そして頂点を極めるために「そりゃないぜ秀吉」と言いたくなるようなことも起こるわけで。
その事実を知る立場から、兄弟の門出を祝うために鐘をつく母と娘たちの笑顔を見ると、今からやるせない気分になってしまうわけだけど・・・せめてサクセスストーリーまっしぐらとなる当面の間は、楽しく見ておこうではないか。
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大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。1月18日放送の第3回「決戦前夜」では、信長の運を開けた「桶狭間の戦い」が起ころうとする様子が描かれるとともに、のちに兄弟のライバルとなる松平元康(徳川家康/松下洸平)が初登場を果たす。
文/吉永美和子
(Lmaga.jp)
