「小一郎!そいつが信長だー!」小栗旬、土木工事に紛れて初登場……『鎌倉殿』とも重なる? 見え隠れする繊細さ【豊臣兄弟!コラム】
豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。 第1回「二匹の猿」では、秀長が将来仕えることになる織田信長と、思いがけない形で初対面を果たすことに。秀長周辺の人々や織田家家臣団も初回から顔をそろえ、今後の展開への期待値が一気に高まった。
■ 土砂崩れをリーダーシップで乗り切る…第1回あらすじ小一郎(のちの豊臣秀長/仲野太賀)の兄・藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)が突然村に戻ってきてからほどなくして、小一郎は清須の山の道普請に参加することになる。
織田信長(小栗旬)の上京に向けて、山道を整備することになった小一郎だが、こんなに敵に攻め入られやすい道を作る信長は、噂通りのうつけだと人足たちに愚痴る。その最中に土砂崩れが発生し、作った道が埋まってしまった。
信長の怒りを恐れ、現場担当者や人足たちは逃げ出そうとするが、小一郎はグループ分けで作業することを提案。土砂は速やかに撤去され、無事に普請は終わった。
翌日、小一郎は京へ出立する信長に遭遇するが、それは信長の悪口を言ったときに自分を殴ってきた人足だった。平伏する小一郎に、信長は土砂崩れの際の差配を褒めるとともに、「自分の進む道は自分で切り開くのじゃ」という言葉を送るのだった。
■ 豊臣兄弟を取り巻く、女性たちに注目秀長や秀吉の子ども時代をすっ飛ばし、秀吉はすでに織田家の足軽となっている所からスタートした『豊臣兄弟!』。それゆえ秀吉&秀長一家だけでなく、織田信長およびその家臣団や、信長と敵対する勢力まで一挙に登場し、これまでになく登場人物の把握に忙しい第1回となった。
まずは、母・なか(坂井真紀)、長女・とも(宮澤エマ)、次女・あさひ(倉沢杏菜)の女性家族たち。なか&あさひは、秀吉の天下一統を果たす際の切り札として頻繁に登場しているが、ともがここまで全面に出てくるのは珍しい。
子どもたちの最年長として唯一の男手である秀長の尻を叩き、「私が戦に行く」と言い放つほどの女傑キャラとなった。これは今後、のちに秀吉の後継者となる彼の息子、豊臣秀次をめぐる物語が盛り上げることになりそう。
演じる宮澤エマは『鎌倉殿の13人』(2022年)で、主人公・北条義時の妹・実衣を演じた際、脚本の三谷幸喜がその演技力に感嘆して、人物像をより深いものにしたという逸話がある。
また、脚本の八津弘幸の書いた朝ドラ『おちょやん』でも、主人公・千代を邪険にしていたように見えて、実は深い愛情を注いでいた義母役で絶賛された。八津からも、大河ドラマ制作陣からも、絶大な信頼を寄せられる宮澤をこの役に据えた理由は、きっとこれから明らかになっていくだろう。
秀吉と秀長の立身出世話であると同時に、彼らを取り巻く女性たちにもスポットを当てるという今回の大河。すでに気の良い母ちゃんぶりを見せる坂井や、『光る君へ』での小悪魔演技が印象的だった倉沢の活躍も楽しみだし、何よりも秀長の幼馴染ポジションのオリキャラ・直(白石聖)の存在が気にかかる。
秀長の才覚を見抜いた勝ち気な彼女が、彼を下剋上に導くキーパーソンとなるのだろうか? 透明感にあふれた白石聖が、どのような運命の女神ぶりを見せてくれるか楽しみだ。
■ 月9ぶり!小栗旬の織田信長は二面性が?舞台が清須に移ると、秀長は早速道普請の仕事に。そこで他の人足たちに「こんなに攻め込まれやすい道を作るなんて、信長ってバカじゃね?」と同意を求めた人足の顔が、なんと小栗旬・・・もとい、織田信長張本人だった!!
このコントのような登場には、SNSが「小一郎! そいつが信長だー!」「信長様が、採用面接で掃除係のお爺さんとして現れる会長ムーブしてる」「殿様が土方工事に紛れている設定もまかり通る。そう、織田信長ならね」と大盛りあがり。
そして予想通り、翌日はあの人足が信長様だったことが判明するという安定の流れに。ここで「こんな奴は赤の他人」からの「自慢の弟」と手のひら返しする秀吉には笑ったが、この小栗旬版信長は、裏切り者を親類縁者まで皆殺しにするという苛烈さは持っているけど、道普請の人たちが「信長はとにかく怖い」と口々に言ってるシーンでは、ちょっと傷ついたようにうつむいていたのを、熱心な大河ウォッチャーたちは見逃さなかった!
過去さまざまな信長像があったけど、小栗版信長は策士ぶりと残忍ぶりを存分に発揮しつつも、どこかでそんな自分に疲れたり自己嫌悪しているという、二面性をシーンごとに使い分けていくのでは・・・と予想。
4年前に主演した大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、権力が強まるに連れて幸せを失っていった北条義時と、ちょっと重なるところがある気がする。かつて『信長協奏曲』というドラマでは、織田信長の替え玉となる高校生を演じたこともある小栗旬。これからの「本物」の演技に期待しよう。
■ 「口調でわかった!」DAIGOの出演に大盛り上がり清須では、柴田勝家(山口馬木也)や丹羽長秀(池田鉄洋)などの信長家臣団が大集合したところが早くも見られただけでなく、秀吉の将来の妻である寧々さんも可憐に登場。
身分の低い秀吉を軽んじず、むしろその性格をおもしろがっているように見える寧々像に、SNSでは「かわいいだろ? 旦那の上司に愚痴手紙を送る女傑だぜ?」「実は秀吉と似たもの夫婦でナチュラルに秀長にヒドいことをしてきそうな予感」と、かわいいだけの姫じゃなさそうな予感を感じた人も多かった。
さらに、この日一番盛り上がったと言ってもいいのは、「美濃のマムシ」と言われた父・斎藤道三を討ち取り、信長と敵対している美濃の大名・斎藤義龍役でDAIGOがサプライズで出演したこと!
時代劇に出るイメージがあまりなかったこともあり、SNSも「これは胸の前で手をくろすさせて決めぽーずをしそうな斎藤義龍」「DAIGOさん、声、というか口調でわかった!」「すごいDAIGOの気配が消えてる」「MMM!(美濃のマムシの息子)」などのOKT(驚きの声が止まらない)状態になっていた。
ちなみに斎藤義龍、この2年ほど後に33歳の若さで病没するので、DAIGOの出番は残念ながらここまで。信長との戦いは息子の斎藤龍興(濱田龍臣)に引き継がれるが、彼もまた『豊臣兄弟!』では、ただの信長の踏み台では終わらない活躍を見せてくれそうなので、こちらも注目しておこう。
そして、本日出てきた信長の家臣の皆さん、この30年後までには全員この兄弟に屈したり滅ぼされたりすることになるのだと考えると・・・歴史とは、なんともドラマティックじゃないか。
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大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。1月11日放送の第2回「願いの鐘」では、自分の村に帰った秀長が、幼馴染の直の縁談の話を聞くところが描かれ、さらに織田信長の妹・市(宮崎あおい)が初登場を果たす。
文/吉永美和子
(Lmaga.jp)
