大人ならではの楽しみ方に驚き……平成女児売れで再ブームの「シール帳」、人気のスゴさをシール交換で実感
平成女児の心をときめかせたカルチャー「シール交換」が、令和に再びブームを起こしている。雑貨店や100円均一ショップでシール帳が売り切れるほどの旋風を巻き起こすなか、大阪・中崎町にシール交換ができるお店、喫茶BAR「喫茶810」(大阪市北区)が10月1日に誕生した。
全国でも(おそらく)初となるシール交換に特化した同店で、交換現場に参加させてもらった。
■ シール帳作りやシールの保管方法もさまざま
店を訪れたのは夜9時ごろのこと。全7席の小ぢんまりとした店内には、すでに先客の姿が。そしてお客さん越しに、バーカウンターいっぱいにカラフルなシールやシール帳が広がっているのが見えた。
シール好きが高じた店長の河野さんが、10月1日にオープンしたばかりの同店。週2日の営業日には絶え間なくお客さんが訪れるそうで、シールブームの熱さを感じる。
この時来店していたのは30代の女性2人組と、すでに数回同店を訪れているという1人の女性客だったのだが、3人グループなのかと誤解してしまうほどの和気あいあいムード。河野さんも交え、シール片手に盛り上がっていた。
さっそく皆さんのシール帳を見せてもらうと、その厚みと密度に圧倒される。と、同時にシール帳の自由さに驚いた。シール帳というからには文具店や雑貨屋で販売されている専用シール帳が必要なのだと思い込んでいたが、バインダーやリフィルをカスタムしたお手製シール帳を作るという方法もあるようで、目からウロコだった。
また、シールを貼るだけでなく、シールシートをそのままファイルに入れて持ってくるパターンも珍しくないようだ。なかにはレターセットなどシール以外のアイテムと一緒に保存している人も。
実は取材にあたって筆者もシール帳を作ろうと思ったのだが、5~6軒ほどお店を回ったもののシール帳は売り切れ。ブームの凄まじさにおののきながら断念したのだが、こうやって実際に現場を訪れると、「そうか、そんな枠に囚われずに自作すれば良かったんだ・・・!」と気付かされた。
■ シール交換の最前線、どんなシールが人気?
もちろんシールの種類も非常に幅広い。今や売り切れ続出の「ボンボンドロップ」シリーズや、平成の香りがするタイルシール、ウォーターインシールといった王道のものから、アイドルやお笑い芸人などの実写シール、スマホケースに挟むような大型ステッカー、果ては果物や野菜に付いているラベルシールや半額割引シールなど、サイズ、ジャンル、材質など実にさまざま。
興味深いのは、この場においてはボンボンドロップやタイルシールといったキラキラしたアイテムより、割引シールや筋肉芸人のシールの方が羨望の眼差しを受けていたという点だ。
もちろん全ての交換がそうとは限らない。が、筆者が女児だった頃の記憶を探ってみると、その頃は当然タイルシールなどの王道シールが人気だったし、そもそも割引シールを集めている子もいなかった。このあたりの価値観も、大人のシール交換ならではなのかもしれない。
また、シールをきっかけに「〇〇好きなんですか?」「これ、どこで買えるの?」などのトークが広がるので話の種は尽きない。真剣に作ったシール帳には、その人の性格や趣味がはっきりと表れる。同店での出会いをきっかけに友人が増えるというのも十分にありえそうだ。
■ 交換だけがメインじゃない、「寄付」する人も
想像していた世界との違いに驚きつつ、お客さんの一人にシール交換を始めた理由を聞いてみると、「昔やってたからとかじゃなく、新たなトキメキで。シールを買うだけ買って、もったいないからシール帳に貼ってる」とのこと。
たしかに、最近のシール界は盛り上がりがすさまじい。かわいいシールを衝動のまま買ったものの、使いどころがなく放置してしまうというのはあるあるだろう。そんなシールを眠らせたくないという意識も、昨今のシール交換やシール帳作りブームを後押ししたのかもしれない。
さらに、この日会ったお客さんたちは、どちらかというとシール帳を見せ合い、トークに花を咲かせている人が多い印象だった。もちろん交換もしているが、なかには「寄付」と自分のコレクションの一部をお店に置いていく太っ腹な人もおり、幼少期のシール交換とはまた異なるのだなと感じた。
SNS上のシール交換ではキラキラ系のシールばかりにスポットライトが当たりがちだ。勝手に「高レートのシールを用意しないといけない」「シール帳に貼っているシールはすべて交換の対象」などと身構えていたが、必ずしもそうではなく、楽しみ方は多岐にわたるのだとわかった。
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「喫茶810」は、夜7時から11時まで営業。チャージ料500円、ワンドリンク制(1時間ごと)。営業日は毎週日・月曜日。定期的におこなわれるシール交換イベントなど、詳しい情報は同店のインスタグラムをチェック。
取材・文/つちだしろ 写真/Lmaga.jp編集部
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