明るくユーモラスなのにどこか哀感が漂う 浅野竹二の木版画展

自画、自刻、自摺りにこだわり、独自の世界を作り上げた木版画家・浅野竹二(1900~1998)。その芸術世界をたどる展覧会『浅野竹二 版を奏でる』が、「伊丹市立美術館」(兵庫県伊丹市)で1月18日よりおこなわれる。

浅野は京都に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)では日本画を専攻、独学で油彩画も学んだ。30歳頃から木版画を手掛けるようになり、《新京名所》など名所絵版画を制作していたが、50歳を迎える年に初めて自由版画の個展を開催。

その10年後に米国の画家ベン・シャーンと出会い、彼の助言にも励まされて徐々に独自のスタイルを作り上げていった。70代になると名所絵をやめて自由版画に専念するようになり、98歳で亡くなるまで制作を続けた。

浅野の作品の特徴は、なんといっても自由奔放なこと。初期の作品は市井の人々を描いていたが、その後は簡潔な線とデフォルメされた形態、鮮やかな色遣いによる独自の画風を確立。明るくユーモラスなのにどこか哀感が漂う作風は、現代の我々が見ても古さを感じない。抽象化された作品でも小難しさやとっつきにくさがないのも、多くの人から支持される理由だろう。彼の木版画人生を展観でき浅る本展は、浅野竹二の入門編としてもぴったりだ。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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