生駒里奈、初主演舞台で気づいた心境

アイドルグループ「乃木坂46」結成時にはセンターをつとめ、現在はアイドルの傍ら、女優・声優・タレントとしても活躍する生駒里奈。そんな彼女が、「これのために捧げようと思った」とまで話す舞台『モマの火星探検記』で、初の主演をつとめる。「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)でおこなわれる大阪公演(8月19日・20日)を直前に控えた彼女に直撃。今の心境を語った。

「どう見てもらえるか、自分の力試しの瞬間かな」(生駒里奈)

──まずはあらためて、アイドルとして乃木坂46に入った経緯を伺いたいのですが

「私のお父さんが、ネットでオーディションの応募を見かけて。高校1年生の夏休みだったんですけど。何をモチベーションにしたらいいか分からなくなっていたときに、ずっと習っていたダンスを毎日できるのは楽しいなぁ、と思って」

──ダンスは幼い頃からやってたのですか?

「2歳ぐらいからやりたいと思っていたのがダンスで、習い始めたのは小学3年生から。中学生は吹奏楽部で、高校生になってダンスを再開したタイミングでもあったので、もっとダンスがしたいなと」

──それが、今や映画や舞台で役者もされてますが、演じるというのはアイドルとしての活動とは違うものですか?

「現実の自分を出して何かをしなきゃいけない、って言うのがアイドルは多いと思うけど、お芝居って、何かの役になって自分じゃないもので表現できる、っていうのが大きな違いと思っていて。最初はやったことがなかったので、お芝居が全然わからくて、まあ今も全然わかんないんですけど・・・。これが自分のやりたいことなのかな、と思いはじめてます」

──『16人のプリンシパル』『すべての犬は天国へ行く』『じょしらく弐 ~時かけそば~』『舞台版 こちら葛飾区亀有公園前派出所』と、今回で舞台5作目にして初主演ですが、その重みは感じますか?

「役が子どもというのもあるんですけど、(W主演の)矢崎広さんはじめキャストの方が経験豊富な方々ばかりなので、主演でがんばらなきゃという気持ちは芽生えなく(笑)。どちらかというと、みなさんに助けてもらいながら成長していってる感じがします。ここは修行の場だなと」

──劇団「少年社中」に飛び込んでの出演ですが、劇団のなかに入って舞台をするのは何か違いますか?

「いままで乃木坂のメンバーだけでやる舞台が多かったので、どちらかというとその雰囲気に似ているなと思って。どこかの団体に入っていくっていうのはアイドルでも経験したことがあることだったので、そこはあまり緊張しないで。でも人見知りなんで、初めましては緊張したけど、慣れていったら馴染めたかなって」

(編集註:2014年4月より約1年間、兼任で「AKB48」にも在籍していた)

──ギクシャクすることもなく?

「全然、全然(笑)。逆に2日目くらいにキャストの加藤良子さんの前で、『もう、できないよー』って大泣きしちゃったくらい。そんな私でもみなさん受け入れてくださって、すごく救われています」

──東京公演(8/9~13)はいかがでしたか

「今回、乃木坂46のお仕事をお休みして、この夏はずっと『モマ~』1本でやってきたので」

──今回の乃木坂のツアーは、参加されていないですよね

「はい」

──完全に集中して。

「そう。今までの舞台と違って主演というのもあったので、しっかりやらないと負ける。ただでさえすごい人たちがいるのに『やばい』っていう気持ちで最初入ったので。そのぶん本番迎えて、自分でもビックリするぐらい集中してるし、毎日反省してたし、くやしかったし・・・。なんかそういう気持ちが大きかったなって」

──昨年は、舞台と乃木坂のツアーを両方やられてたんですよね

「その経験もあって。どっちもがんばりたいけど、すごいうまいわけじゃないし、器用なわけじゃない。何本も同時期にやられている方は、役者さんでもアイドルでもいると思うんですけど、今年は大きなチャンスをいただいたので、そこに向けてがんばろうと思いました」

──そうすることで良い方向に向かってますか?

「ファンレターとかで、ほかのキャストさんのファンの方からお手紙頂いて『すごく良かったです』って言葉をくださって。これが自分のがんばった証かなって、うれしかったです」

──映画など映像でも演技をされてますが、舞台との違いって感じますか?

「私は『舞台』って空間が好き。ダンス習っていたときから好きだったので、違いとかよくわかってないけど、こっちのほうが好き。ホラー映画をやったときもすごく勉強になったけど、同じ気持ちを次の日まで持って行けないなとか・・・。(舞台は)毎日同じことが繰り返されるけど、毎日違う気持ちになって、でも哀しいとかうれしいとか思える2時間なので、それはすごい楽しい。昨日よりここはまだ哀しみが踏ん張れてるなとか、ちょっとずつわかってきたので。19日からの大阪公演も、また新たな挑戦をしたいなって思っています。大阪はお笑いで有名な地だけど、芸事が栄えている街なので、どう見てもらえるか自分の力試しの瞬間かな」

「運命だって思うくらい心動かされる作品」(生駒里奈)

──本作は、毛利衛さんの同名作をもとに少年社中の舞台『ハイレゾ』をミックスした作品ですが、初演は見られましたか?

「映像で見たのですが、すごいやりたい世界観ていうか、私こういうことずっとやりたかったんだなって。オープニングがすごくかっこいいんですけど、見た瞬間に『これ、できるのうれしい』って。観終わって、これのために捧げようって素直に思いました。運命だって思うくらい心動かされる作品だなって」

──ご自身が好きなマンガやアニメに近かった?

「いや、私がやりたい表現の種類にぴったりだった」

──表現の種類っていうのは、具体的にはどういうことでしょう?

「具体的に言えるかわかんないですけど。せっかく生まれてきて、舞台の上に立てるんだったらこういうことをしたいって、ざっくり思っていたことを形にしてくれてたので、舞台でこういう表現の仕方があったんだっていう発見がありました」

──今回の演出でも、そのオープニングは取り入れられてるんですか?

「はい。もう、そこだけで満足(笑)。曲が流れている後ろで冒険が繰り広げられる、ホントにアニメのオープニングをみてるみたいで、一気に惹きつけられる。あそこがかっこいいです」

(編集註:「少年社中」の作品では、ダンスやチェイスといわれる動きで物語をイメージさせる、登場人物全員によるオープニングが定番。演出の毛利亘宏が表現方法の一つとして手掛けており、本作では7人の宇宙飛行士がロケットに乗って、地上から宇宙に駆け上がる瞬間がそのなかで描かれている。本作の必見シーンの一つ)

──今回の物語は、生駒さん演じるユーリの物語と矢崎さん演じるモマの物語が交互に描かれています。

「そうです。2つの物語がだんだんとリンクしてくる部分があって、すごいステキなお話です」

──演じることに関しては、何かから影響うけることはないんですか?

「私、お手本とかつけちゃうとできないなって思って。何も考えずにやってます。たぶん役作りとかもやったらできなくなる人なので、一切やってないし、素の自分もでてない。役の感情や背景とかを考えるときは考えるんですけど、あんまりやり過ぎちゃうと良くないなっていう系統らしく」

──映像作品で演じるときも同じなんですか?

「映画のときもドラマのときもそんなに余裕があったわけではないので、語れません。『モマ~』で初めて思いました。それぐらい、いままで何もできないまま終わっていたので。悔しいことに。何かを得るって前に、ああすれば良かった、こうすれば良かったで終わってしまっていた今までだったので、『モマ~』はそうしたくないと思ってて。前よりは自分で発見できるようになったかなって感じています」

──あらためて、舞台で役者として演じるのは、アイドルやタレントとは違うと。

「一生懸命になれる瞬間のひとつ。そこまで語れるほど経験があるわけではないので、違うかどうかは正直わからないですが、『モマ~』の場合、一生懸命になれる瞬間がたくさんあるので、すごくやりやすいです」

──今後もできるなら舞台は続けていきたいと。

「私の性格上、一点集中して成し遂げたい人なので、それができるのは舞台があっていると思います。縁があるなら続けていきたい。演じるのは楽しいし、そのための努力もしたい。何も成し遂げられていないのにその場その場でOKっていうのは許せないので、そういう人にはなりたくない」

──最後に、大阪公演に向けて意気込みをお聞かせください。

「このお話は、きっと共感できるというか、自分だと思うシーンがたくさんある作品です。ファンタジーかも知れないけど、言葉にはすごい現実味があって、この言葉をここで聞けて良かったって思う瞬間もたくさんあるし、今観れて良かったと絶対思える作品名ので、時間があればぜひ足をお運びください。劇場でお待ちしております」

(Lmaga.jp)

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