寺島しのぶ「父と今まで会話なかった」

米国の芸能一家の衝突を描いた舞台『アザー・デザート・シティーズ』が、7月から東京・大阪で上演される。「ブルックは私。出会うべくして出会った作品」と主演の長女ブルックを演じる寺島しのぶが、大阪市内で会見し、自身の家族について語った。

家族の回想録を出版しようとする作家・ブルックの家庭は、父親が元映画俳優で、母親は脚本家、弟はテレビプロデューサーという芸能一家。父親が歌舞伎俳優の尾上菊五郎、母親は女優の富司純子、弟は尾上菊之助、と寺島自身の家族を彷彿とさせる。「家族のなかで私の居場所は?と自分の存在を確認することは小さいころからありました。親の迷惑のかからないところで、自分の好きなことをやりたいな、としょっちゅう考えてましたね。でも悲しいかな、芸能一家の家庭環境で育つと、そこからは逃げきれない。初めはうっとうしい存在かもしれませんが、大人になって親の気持ちは分かるし、親と似てくる。舞台もそういう話なんです」。

寺島にとって家族の在り方は、子ども時代から大人へ、そして結婚し、子供を産み、変化を遂げているという。長男・眞秀くんは今年5月に歌舞伎デビューを果たしたばかり。「子どもが生まれてから、親と一緒にいる時間が長くなりましたね。ありがたいの一言しかないです。10代、20代のころはそういう気持ちにはなれなかった。私と父の会話は今までほとんどなかったんですよ。でも、子どもを通じて会話が生まれたり、眞秀のためにご飯会が開かれたりして、家族の和ができる。子どもはかすがいになってくれています」。

女優として活躍する傍ら、子育てにも奔走する毎日。「私も愛情をいっぱい注がれて育ったんだなぁと感じます。ちょっと前までは、弟のほうが愛を注がれているという気持ちだったので、そうではなかったと今は思えます。色々なことが、日々変わってきていますね」と幸せそうにほほ笑む。その刻一刻と移りゆく豊かな感情は、突出した演技力にさらなる深みを与えてくれるはずだ。大阪公演は7月29日~31日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)にて。チケットは9500円ほか、各プレイガイドにて発売中。

取材・文/米満ゆうこ

(Lmaga.jp)

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