済美・安楽が王手!4戦完投663球

 「センバツ・準決勝、済美3-2高知」(2日、甲子園)

 準決勝2試合を行い、済美が高知との四国対決を3‐2で制し、初出場で優勝した04年以来、9年ぶりの決勝進出を果たした。MAX152キロのエース・安楽智大投手(2年)は2本の本塁打を浴びたものの、2失点で完投。浦和学院は5‐1で敦賀気比を下し、春夏通じて初めて決勝へ駒を進めた。

 怪物に弱気の虫が出た。1点リードの九回。先頭打者に三塁打を許して同点のピンチを迎えた済美の安楽は、金子捕手に提案した。「敬遠しましょうか?」‐。

 次打者は七回に本塁打を浴びた4番・和田恋。女房役の答えは「何言っとんや!強気で攻めよう!」だった。4球連続の直球で二飛に打ち取り、残る打者にも直球勝負を貫き無失点に抑えた。

 「最後は気持ちで投げた。決勝進出が決まった瞬間は、涙が出そうなくらいうれしかった」。

 初回に高知の2番・土居に左翼席へ運ばれた。七回の和田恋の一発は左中間最深部まで飛ばされた。野球人生で打たれた本塁打は、昨秋の愛媛県大会決勝・今治工戦での1本だけ。剛腕が1試合2被弾。ショックは大きかった。

 甲子園で初の2連投。さすがに、疲労で「直球に威力がないのが初回から分かった」といい、MAXは146キロ止まり。それでも勝利への執念は捨てなかった。内角を突く攻めの投球が、八回の2番・山下の勝ち越し本塁打を呼んだ。

 宿舎で朝食をとっていると、一塁手の藤原が近寄ってきた。「きょうはお前のために、絶対に点を取ってやるからな」。大会直前の負傷でスタメンを外れていた先輩の力強い一言に「やってやるぞ!!、という気持ちになった」‐。

 大阪桐蔭が優勝した2008年夏。小学6年生だった安楽は、決勝戦を甲子園のスタンドで観戦した。「どよめきがすごくて、いつか自分もこの舞台でプレーしたいと思った」と振り返る。

 安楽には主要大会で「優勝」に縁がない。「チームは波に乗っているし、ここまで来たら優勝したい。ワクワクします」。4試合で計663球。最後の力を振り絞り、紫紺の大旗をつかみ取る。

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