ふとしたことから往年の名騎手・清水英次さんを思い出しました

 10月9日の東京5Rへ、加藤和宏厩舎のモンプランス(牡2歳)という馬が荻野極騎手とのコンビでデビューする。トレーナーから「極の師匠は誰だっけ?」と問われたので、「清水(久詞)先生ですよ。仲、いいんですか?」と返した。すると「大先輩に失礼じゃないか!」と-。

 『う~ん、おかしいなあ。清水久詞調教師が加藤先生より年上のわけないし、もしかしたら06年に引退した清水久雄元調教師と勘違いをしているのかな?』と最初は思った。だが、話をしているとどうやらそれも違う。

 しばらくして、ようやく理解できた。勘違いしていた相手は、71年トウメイ、78年テンメイを天皇賞・秋の母子制覇へ導いた清水英次元騎手。同じ時代に加藤先生とは騎手として切磋琢磨(せっさたくま)したライバルであり、”関西で清水”と言えば真っ先に頭に浮かんだのだろう。ただ、清水元騎手は調教師には転身せず、05年に既に亡くなっているのですが-。

 久々に”清水英次”と言う名前を聞いた。あまり縁のない栗東所属の騎手、それにワタクシとは年齢差もあり特に親しい間柄というでわけでもなかったが90年代、秋の福島競馬の滞在取材で絡みはそれなりにあり、強烈な印象も残っている。

 ワタクシの世代だとさすがにトウメイ、テンメイではなく、三冠馬ミスターシービーの最大のライバルだったメジロモンスニーの主戦。ファンとして熱く競馬を見ていた時でもあり『どんな人なんだろう?』と会う前から興味津々ではあった。

 で、調教スタンドで実際に取材すると…二日酔い全開の風貌。その週の騎乗予定馬を聞きだすことが、厩舎取材班にとっては重要な仕事のひとつなのだが「え~と、土曜の1Rは○○厩舎の白い馬、2Rは○○の黒いヤツだな」みたいな、『なんじゃこりゃ~』の受け応えだった。取材ノートに白だの黒だのといっぱい書いて、あとで厩舎と馬を照らし合わせて馬を探す作業が大変だったことを覚えている。

 ただ、気のある馬は馬名が出てくるので『どの馬に色気があるのか?』がすぐに分かる騎手ではあった。実際、まだまだ有名になる前のナリタブライアンに福島で騎乗した時(93年10月・きんもくせい特別)はスラスラと名前が出てきたものだ。しかもレース後にはこの馬のすごさを教えてもらい、まだ馬券的においしかった頃でもあって懐を非常に潤わせてもらった。

 関西の先輩記者に「きょう、英ちゃんと晩ご飯を食べに行くからお前も来いや!」と誘われ、一度だけご一緒させてもらったことがある。まあ、これも忘れられない思い出だ。

 確か午後6時くらいに落ち合い「俺のなじみの店があるからそこで」となって連れて行かれたのだが…着いた先はスナック。「あの~まだご飯、食べていませんけど」とさすがに言うと、「まあ、え~やないか!」と酒のお供を延々とさせられた。そして「俺は日活映画の和泉雅子さんが大好きでな~」と語られたものだ。日活と言えばロマンポルノが頭に浮かぶ世代のワタクシには「は~、そうですか」と言うしかなかった記憶が…。

 とにかく、今ではお目にかかれないタイプの乗り役だったことは確か。昔のジョッキーは本当に個性が豊かだった。

(馬サブロー美浦支局・玉川 祝)

【玉川の土曜推奨馬=東京6Rガチコ】

「放牧がプラスに出て、いい意味で成長。岩田Jも合いそうで楽しみ」と高橋文雅調教師はニヤリ顔。

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