【ボート】今年の住之江グランプリはエース機不在の激戦
「ボートレース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」
11月のG1レースで頂点を極めたレーサーは菊地孝平(徳山)、長田頼宗(若松)、枝尾賢(大村)、新開航(とこなめ)。百戦錬磨のタイトルホルダーから、G1初制覇を成し遂げた若武者まで、バラエティに富んだ選手が勝利の美酒を味わった。
優勝者に大きなアドバンテージをもたらしたのは、やはり「エース機」の存在。中でも若松周年を制した24号機、大村周年を制した19号機は超抜級のパワーを誇り、優勝戦の決まり手はいずれも「まくり」での決着だった。
それぞれ1号艇のエンジンは決して見劣りする評価ではなかったが、スリットからの猛烈な推進力を含め、競り合いに持ち込めば圧倒的にエース機が優勢。相手の優れた技量をねじ伏せるパワーは、より一層迫力を増していた。
さて、そうなると開催が迫ってきたSG・グランプリ(12月19~24日・住之江)のエンジン動向が気になるところ。住之江担当の記者の見立てでは、絶対的なエース機の称号を得られるエンジンは今のところ「不在」とした。
ただ、3月の初下ろし以来、年間を通じて好成績を収める「銘柄級」のエンジンも多く、過去のレースを見ても、ボート界最強の精鋭たちの調整力で一気に性能が飛躍。「エース格」にまで登り詰めるパターンもある。
2年前の当地グランプリでは、峰竜太(佐賀)が下馬評が低い31号機を底上げして上位の足に「覚醒」。優勝戦では無念の転覆失格で涙をのんだが、ライバルのエンジンに比べても余裕がある足で、トップクラスの状態にまで立て直していた。
今年のグランプリでは、ほぼ横一線のエンジン相場から、どこまでレベルの高いエンジンに仕上げてくるかが勝負のポイントとなるだろう。迫力満点のドッグファイトは今から楽しみだ。(関西ボート担当・保田叔久)