【ボート】勝者は一人だが、その陰にドラマあり

3日の児島で通算4回目の優勝を飾った河野真也
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 「ボートレース記者コラム・仕事 賭け事 独り言」

 3日に最終日を迎えた児島ボートは河野真也(28)=福岡・102期・A2=が2コース差しで優勝。インからデビュー初優勝を狙った田中京介(26)=福岡・105期・A1=は2着。地元連続Vへこん身のスタートを放った村岡賢人(27)=岡山・105期・A1=は3着だった。河野が手にした70号機は、2節前のG1で寺田祥が優勝した実績機。終わってみれば順当な結果だが、そこに至るまでドラマは二転三転。優勝することの難しさを改めて感じた。

 シリーズをリードしたのは村岡賢人。10月の児島ルーキーシリーズでは通算25回目の優出にしてデビュー初優勝。4年前、長女を出産すると同時に天国へ旅立った愛妻にささげる優勝として感動を呼んだ。ひと回りたくましくなった村岡は、卓越した調整力とS力、ターン力で堂々の予選トップ通過。準優で逃げれば優勝戦の1号艇。地元で連続優勝はもう目の前だった。だが、予選で圧倒的な強さを誇った村岡は準優で2着。優勝戦の1号艇は、準優でただ一人逃げ切った、予選3位の田中京介の手に渡った。

 田中と村岡は同期。通算9回目の優出で田中が初優勝し、同期の村岡が水神祭で祝福する-。そんなドラマの光景が目に浮かんだ。

 しかし、迎えた優勝戦は、田中でも村岡でもなく、河野が優勝。河野は2008年の5月児島でデビュー初勝利。今年6月の男女W優勝戦では予選突破を果たしたが、準優日の前半レースでフライングを切り賞典レース除外。準優で2着となったが優勝戦に出場することはできなかった。

 11月芦屋に続く通算4回目の優勝を勝ち取った河野は「村岡君が来ていたのでスタートは思い切っていった。G1で寺田祥さんが仕上げておられたプロペラなので予選4日間はノーハンマー。気温が下がった準優と優勝戦で少しだけたたいた。エンジンさまさま」と笑顔で振り返った。

 「最近はいいエンジンを引かせてもらってリズムがいい。でも僕は、いつもフライングでリズムを崩す。前期も途中まで7点あった勝率を一気に下げたんです」と告白。前期の勝率は5・73。児島のフライング後に一気に下がってしまったのだ。今節はそんな気持ちを胸にしまい、最後に主役の座を射止めた。

 一節一節でドラマは完結するが、実はつながっている。村岡と田中が味わった悔しさも次章へ続く物語。彼らがG1やSGで活躍する日のエピソードとして胸に刻んでおこう。(児島ボート担当・野白由貴子)

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