【ボート】初勝利へ遠い、遠い道のり

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 勝てない日々がこうも続くとは思いもしなかった。ボートレーサーとして2012年3月にデビューした冨好祐真(24)=兵庫・110期・B2=。タレント、ちゃらんぽらん冨好の長男でもあり、デビュー時は注目を集めた。しかし、それから3年、冨好は出走レースが300を超えても、いまだ白星に手が届いていない。ゴールの先にある1勝が本当に遠い。

 「やはりこれだけ勝てないとは思ってもいなかったので、焦りはあります。今は結果が欲しい」-。そんな思いを胸に冨好は、地元の尼崎ボートで練習に励む。スタートやハンドリングなどの操縦テクニックに加え、プロペラやエンジンの調整など、ボートレーサーとしてやらねばならないことは多岐にわたるが、「しっかりと準備しておけば結果は付いてくると信じていますから」と勝利をつかむべく、努力を怠らない。芸人の父からも「積み重ねてた努力は決して裏切ることはない」と人生の先輩として、練習や準備の大切さを説かれたという。

 冨好のように、初勝利へ必死にもがいているレーサーはほかにもいる。三宅諒(大阪)はデビューから447走、同様に磯部温志(山口)が379走、福本悠(大阪)も348走、そして305走の冨好らが1着を夢見て努力を重ねている。実力社会とはいえ、その焦りや苦悩は想像に難くない。

 艇界では未勝利のまま引退する選手はほとんど見かけることはない。デビュー初戦で勝利する選手もおり、レース展開や運に恵まれれば、新人選手でもベテランの人気選手を抑えて、先頭でゴールを切ることもある。

 冨好もあと一歩というレースが幾度とあった。ところがおとなしい性格が災いしてか、「正直怖いと思ってアクセルを離したりしたことがあった。びびってばかりで勝負に徹することができない自分がいた」と振り返る。そんな弱さも練習を重ねて振り払い、「技術的なこと、精神的なことに自信はついた。あとは先頭でゴールすることだけを考えている」と言い切った。

 前節の浜名湖では、9走して2、3着を1本ずつマークした。18日からは、若松でのレースに臨む冨好。努力の先にある初勝利というゴールまで見守っていく。(記録は3月15日現在)

(関西ボート担当・中村博格)

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