【地方競馬】「JBC競走」の課題

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 今年も11月3日、盛岡競馬場で地方競馬の祭典「JBC競走」が行われる。この「JBC競走」はアメリカのブリーダーズカップを模範にする。最高峰の格付けレースを1日に複数開催。生産者が主導して実施するレースでもある。

 当日にはJBCクラシック、スプリント、レディスクラシックと3つの「Jpn1」レースが行われる。

 このレースにはJRA枠、地方競馬枠が決められており、選定委員会が出走馬を決定する。既に発表されたJRA選定馬に続いて、23日には地方競馬選定馬が決定された。昨年に続いて3競走の全てで南関東所属馬の数は少なかった。

 所属頭数、交流重賞実績からすれば、「もう少し選定されても」と思うのだが、これは記者の勝手な感想。関係者の出走希望が少なければ、選定馬の数が少ないのは当然のことである。

 しかし、出走意志が少なくなる傾向は致し方ないように思われる。というのも、このビッグイベントが開始された2001年当時と比べると、近年はJRAと南関東で、頂点に立つグループ(オープン馬)の競走馬の能力の違いが開きすぎてきてしまっている。

 競馬は経済的側面を多分に持つ競技。とてもかなわないと判断する相手との勝負は避け、自分の庭での重賞(「JBC競走」ほどの高額賞金ではないが)に向かうの自然の成り行きだろう。さらに、能力差のある南関東以外の地方競馬には、それぞれの諸事情、賞金の面から出走を選択する傾向が強い。

 そんな背景を考慮すると、地方から選定される馬とバリバリのJRAオープン馬の対決は正直、馬券の購買意欲をそそりにくい。3連単が主流の今は、穴馬候補が数が多ければ多いほど、馬券購買意欲が増すのも事実。南関東馬なら、その役割を担えるのだが、それがかなわないのが現状だ。JRA枠6頭との対決でも興味深い一戦とはなるが、やはり、交流重賞での最高峰となるレースだけに、物足りなさが残る。

 競馬は多くのファンが馬券を買い続けてきたからこそ発展し続けてきた。生産者主導のレースとはいえ、このままでは、このイベントが今後も発展していくとは思えない。血統レベルの差、調教施設の違いなどから、さらにJRAと地方競馬の実力差は開いていくと推測される。それだけに、選定枠数の見直しなど再考する点が多々あるように思われる。

 また、「地方競馬の祭典」とうたわれるイベントでもあるだけに、地方競馬をけん引していくべき南関東競馬が「JBC競走」へもう少し積極的に関与する姿勢を取ってほしいものである。(地方競馬担当・工藤 修)

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