【児島SGコラム】白井英治 狙うは3年ぶりグランドチャンピオン制覇
「野白由貴子のMかSか?キング&クイーン」
前検日、練習を終えて苦笑していた茅原悠紀のすぐ後ろを、白井英治と寺田祥が寄り添うように歩いていた。私は「おぉ、18年のグラチャントリオだ」と3年前の記憶が一気によみがえった。徳山ボートで開催された64年ぶりのSGレース。街中が盛り上がる中、今村豊さん、白井、寺田の山口支部3強にシリーズは託された。
前検日は朝方の地震で大混乱。交通網が乱れ、夕刻にやっと到着する遠征陣もいた。ホームで8時間待ったという吉川元浩がヘトヘトで現地入りした顔を思い出す。私自身も岡山駅で停電のトラブルに巻き込まれながら、遅延した新幹線に乗って徳山駅にたどり着いた。
あの年の地元3人は神懸かっていた。予選最終日の6月22日は今村さんの誕生日で、今村さんは恥ずかしがりながら、長嶋万記が準備したコスプレを身にまとった。予選トップはシリーズをリードした寺田で白井は2位。だが、準優は徳山を得意とする茅原が寺田を破り、白井と寺田の立場が入れ替わった。優勝戦では1号艇の白井が逃げ切り、茅原が2着。寺田は4着に終わった。
連日場内は地元ファンであふれかえり大盛況。白井の水上パレードはスタンドを埋め尽くすファンの大歓声に包まれた。表彰式には寺田を伴った今村豊さんが登場し白井を祝福。そして、伝説の言葉を残した。「ファンの皆さん、今日の主役は白井です。ですが、シリーズを引っ張ったのは寺田です。どうか、寺田のことも褒めてやって下さい」。私は会場のファンと一緒に泣いた。本当に感動的なシーンだった。
今村さんの引退後、優勝から遠ざかっていた白井に代わり、今年前半は寺田が突っ走った。寺田が事故点に苦しむ今期は白井が表舞台で活躍。両雄はお互いを高め合い、自分にない部分を補い合う関係。17年の児島65周年は寺田が優勝し、白井が2着のワンツーだった。
ハイテンションで飛ばす峰竜太に対し、今節の白井は泰然自若。3年ぶりグランドチャンピオン制覇を狙う白井をクールな寺田がサポートする番だ。
12R 白井は2日連続で12Rの1走。調整を合わせて的確にさばく。③①、③④流し。(児島ボート担当)