【エ女王杯】ラッキーライラック女王返り咲き オルフェの子でスミヨン栄冠

 「エリザベス女王杯・G1」(10日、京都)

 一昨年の2歳女王ラッキーライラックが復活の一撃-。新コンビのスミヨンに導かれ、豪快な末脚で秋の牝馬頂上決戦を制し、自身2つ目のG1タイトルを手に入れた。クロコスミアが3年連続の銀メダル。注目を集めた3歳G1馬2頭はラヴズオンリーユーが3着、クロノジェネシスは5着に終わった。

 赤い糸はつながっていた。勝負の4コーナー。外に持ち出そうとしたその時、スミヨンは視線を右に。内にスペースを見つけると、迷わずラッキーライラックを導いた。強烈な反応を示したオルフェーヴルの娘は、押し切りを狙うクロコスミアを照準に、信じた末脚を放つ。並ぶ間もなくかわした先に、栄光のゴールは待っていた。

 拳を握り締め、人さし指をそっと口元にあてる。14年のジャパンCをエピファネイアで制して以来、約5年ぶりのJRA・G1制覇は、騎手魂を激しく揺さぶる1勝となった。「この馬がオルフェーヴル(12、13年凱旋門賞をコンビで2着)の子どもだということに、とても縁を感じていました。勝てて本当に良かった。あの時の無念を晴らした気持ちです」と胸を張った。

 この秋、7年ぶりにJRAの短期免許を取得したスミヨン。菜食中心のメニューに変更するとともに、トレーニングに励むことで、懸案だった体重管理も克服した。「私自身、ベストの状態で日本に来ることができました。思っていたよりも位置取りは後ろになりましたが、しっかりとためて行こうと。内があいたのはラッキーでしたが、切れる脚がなければ、勝てていなかったと思います」。インタビュー後は、自らスタンドのファンに歩み寄り、差し出された色紙にペンを走らせた。

 「やっと勝てた、という気持ちです。枠順を見てあの時のことがよみがえってきましたし、いいイメージを持っていました」。松永幹師が騎手時代、ファレノプシスで勝利した時と同じ1枠2番からの戴冠。17年の最優秀2歳牝馬は昨年のチューリップ賞を制して以来、遠ざかっていた白星と最高の形で再会を果たした。全ては、つながっている。「力を出し切れば、こういう勝利があると確信しました」。ようやくつかんだ歓声をもう手放すことはしない。先を見据える指揮官の視線は決意に満ちていた。

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