【競輪】熊本競輪場の今…時は止まったまま 熊本地震で甚大な被害 

 昨年4月の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本競輪場の現状を報告する。走路には亀裂が入り、観覧席の窓ガラスは割れ落ちて、今もビニールシートで覆われている。一方で復興に向けた関係者や選手の模索が続く。そんな熊本競輪場の“今”を取材した。

 2016年4月14日に発生した熊本地震から、間もなく1年になろうとしている。日本の競輪場で、最南端に位置する熊本競輪場も壊滅的な被害に遭った。

 4月14日21時26分の前震で、特別観覧席のスプリンクラー配管が一部破損して水漏れが発生し、走路にも亀裂が入った。同16日1時25分の本震では、特別観覧席の窓ガラスが割れて走路に突き刺さり、被害は拡大。それから現在まで、熊本競輪場はレースの休催が続いている。

 17年2月現在も、観覧席や選手管理棟は天井がはがれ落ち、壁も崩れたままで使用不能。走路は一部を補修して練習での走行は可能だが、被害の大きい観覧席から窓ガラスの破片が落ちてくることもある状況だ。

 熊本競輪の復興は課題山積。避難所は昨年11月18日に閉鎖されたが、熊本の象徴である熊本城も復旧への取り組みは始まったばかり。熊本競輪を施行する熊本市の大西一史市長は「熊本競輪場は被災し、厳しい状況は続いているが、(他場に)借り上げで開催させてもらったり、復興支援の冠を付けて(G3を)開催してもらったり、復興の原動力になっている」とコメント。市民感情に配慮しながらの取り組みとなる。

 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、兵庫県の西宮、甲子園競輪(ともに02年廃止)が同年4月に再開。11年3月11日に発生した東日本大震災では、福島県のいわき平競輪が同年6月に再開。施設の被害が大きかった茨城県の取手競輪は12年10月に再開と時間を要した。今年は2月に取手で全日本選抜、8月にいわき平でオールスターと被災地でG1レースが開催され、震災からの復興をアピールする。

 熊本競輪場でレース再開の道筋は見えてこないが、熊本の競輪ファンは熱気があることで有名だ。震災後の6月には場外発売を再開。グランプリやG1では車券売り場が混雑し、発売締め切りに間に合わない人が出るほどのにぎわいを見せた。一日も早いレース再開を待ちわびている人は多い。

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