【ダービー】次の野望は世界一のキズナ

 「日本ダービー・G1」(26日、東京)

 後方から運んだキズナが直線で鮮やかに末脚を爆発させて、1番人気の支持に応えた。通算4度目の挑戦でダービートレーナーとなった佐々木師は、改めて凱旋門賞・仏G1(10月6日・ロンシャン)への参戦プランを明言。世界制圧への意気込みをアピールした。福永騎乗のエピファネイアが2着。3着には8番人気のアポロソニックが奮闘した。皐月賞馬ロゴタイプは5着、またコディーノは9着に敗れた。

 思いが結実した。皐月賞組を押さえて、1番人気に支持されたキズナが直線で外から強烈に伸びて快勝。開業20年目の佐々木師が栄えあるダービートレーナーの座に輝いた。「馬って、仕上げたらここまで良くなるんだなと自画自賛していた。今回は負ける気がしなかったですね」。表彰式では両手を大きく天に突き上げてガッツポーズ。その頬には、かすかに涙が伝ったあとがあった。

 牝馬G1・3勝馬ファレノプシスの半弟として、入厩前から期待されていたディープインパクト産駒。しかし、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。昨年11月24日、デビュー2連勝に導いた佐藤哲が京都競馬で落馬し戦線を離脱。武豊と初コンビを組んだ暮れのラジオNIKKEI杯2歳Sは3着に敗れ、今年初戦の弥生賞も5着に敗退。続く毎日杯のVで賞金加算に成功したものの、レース間隔などを考慮し1冠目の皐月賞を断念することになった。

 「皐月賞をパスすることを決めたとき、オーナーは“好きにしろ”と言ってくださった。普通なら怒られるところだろうけどね。ローテが間違っていなかったことを証明できて良かった」。父ディープインパクトが制した05年にインティライミ(2着)を送り込んで以来、今回が通算4度目の祭典挑戦。悩んだ末の遠回りが、結果的に至高の称号獲得につながった。

 既に登録済みの凱旋門賞についても参戦プランがより具体性を帯びてきた。「前哨戦は札幌記念(8月18日・函館)かな。コースはきついけど、洋芝だし。それから検疫に入って…という感じになると思う」とローテ案を口にした。実現すれば、オルフェーヴルやジェンティルドンナといった日本が誇る最強馬と世界の頂点を争うことになる。「やっぱり、凱旋門賞は獲ってみたいじゃない。3歳馬なら斤量的にいい(56キロ)からね。有利だと思う。精神力も別格だから楽しみ」。04年タップダンスシチー(17着)以来のフランス遠征に力を込めた。

 ひとまず鳥取県の大山ヒルズへ放牧に出され、今春の激戦の疲れを癒やす予定だ。「ダービー馬になったということは、将来が約束されたということ。これからが責任重大だね」。新たな大目標に向けて一直線‐。武者震いする指揮官の背中に、大きな風が吹いた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

レース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(レース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス