去年の日焼け止め…そのまま使っても大丈夫?気になる肌への影響を専門医に聞いてみた
真夏日が続き、いよいよ本格的な夏が近づいている。そこで気になるのが日焼け止めの保存期間だ。去年買った日焼け止めがまだ少し残っているから、それを先に使い切ろう-化粧ポーチを確認してそう思った方もいるのではないだろうか。そこで、形成外科専門医で化粧品検定1級も取得している澤口悠医師に、日焼け止めの使用期限に関してお話を伺った。
-未開封の日焼け止めの保管期限はどのくらいとされているのでしょうか?
「期限表示のない未開封の日焼け止めは少なくとも3年間、適切な環境(直射日光を避け、25 ℃前後の冷暗所)での保管を前提に安定性が保証されています」
-昨年開封した日焼け止めを翌年に使用しても肌には影響ないでしょうか?
「開封済みなら『そのシーズンで使い切り、翌年に持ち越さない』が推奨です」
-劣化した日焼け止めを使うことで、かえって肌が悪化して皮膚科に行くケースもあるのでしょうか?
「臨床現場でも、前年買った日焼け止めの残りを使って紅斑や痒み、ざ瘡様(ざそうよう)発疹(=ニキビや吹き出物のような発疹)を起こし受診される方は少なくありません。これらの症状は、フィルターや防腐剤の分解生成物による刺激性接触皮膚炎や微生物汚染、日焼けによる光線過敏症の惹起などが原因のケースが多いです」
-色やニオイなど、日焼け止めの劣化を判断するポイントはありますか?
「変色(黄ばみ・褐色化)、油水分離によるシャバシャバ感や粒状物の発生、酸化臭・カビ臭などの異臭は代表的な劣化サインです」
-夏場の日焼け止めの効果的な塗り方や塗り直しの頻度があれば教えてください。
「SPF試験と同等の防御効果を得るには2mg/㎠の塗布量が必須で、顔なら人差し指と中指に各1線ずつ伸ばした量が目安です。屋外では2~3時間ごと、汗や水でぬれた直後はタオルで軽く押さえてから塗り直してください」
-そのほか、日焼け止めの使用でみんなに守って欲しい点などがあれば教えてください。
「ボトルは車内や窓際など40 ℃を超える場所に放置せず、使用前に軽く振って成分を均質化。SPF30・PA+++以上のものを使用し、耳・首・手背まで忘れず塗布しましょう」
日焼け止めをしているからといって、安心しすぎるのも良くないと澤口医師は指摘する。「日焼け止めは塗っても100%紫外線をカットできるわけではなく、万能ではありません。つば広帽子やUPF衣類、日傘などを駆使して総合的に紫外線を避けることが重要です。とくに敏感肌の方やお子様は低刺激処方のものを選び、初回は上腕内側でパッチチェックをしましょう」とのこと。
日焼け止めを使わないことで肌にダメージがあるのは周知の通りだが、その一方で買い替えを渋ることで、かえってケアにお金がかかってしまう可能性もある。適切な利用方法で、夏の厳しい日差しを乗り越えていきたいものだ。
(デイリースポーツ特約・桐田えこ)
◇澤口悠(さわぐち・はるか)医師
「豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック」副院長。形成外科専門医、化粧品検定1級。大学病院や総合病院にて形成外科医として研鑽を積んだ上、美容外科、美容皮膚科医としても活動しており、皮膚疾患の保険診療から美容施術まで幅広く診療を行っている。脂肪吸引のスペシャリストとして、美容整形版令和の虎にも出演。
