婚活は“ガチャ”?出会いの「運ゲー化」にハマる人が見落とすポイントとは【恋愛婚活心理学者が解説】
会社員のAさん(30代女性)は、マッチングアプリで2年以上婚活を続けてきた。毎日のように新しい人とマッチし、次々と出会いを『ガチャ回し』するような感覚でデートを重ねていた。数回会っただけで関係が途切れることばかりだったが、それでもAさんは「私は運が悪いだけ」と考えていた。
ところがある日、同じように婚活していた友人が短期間で成婚したことで自分の婚活のやり方に疑問を持つように。Aさんは「自分がガチャを引いている側」だと思っていたが、実際には複数の女性の中で比較され「回されている側」だったことに気付いたのだ。
では、Aさんの婚活はどこでつまずいていたのか。そもそも婚活は“運”で決まるものなのだろうか。結婚相談所「SMART BRIDAL」代表取締役で、恋愛婚活心理学者の吉野麻衣子さんに話を聞いた。
-Aさんのように婚活が『ガチャ回し』の感覚に陥るのは、どのような心理が原因なのでしょうか
脳が「変動報酬」という心理的な罠にハマっている状態です。これはカジノやスマホゲームと同じ仕組みで、「次は当たるかもしれない」という期待感が快楽物質(ドーパミン)を出させ、やめられなくさせてしまうのです。
特にマッチングアプリはスワイプすれば、いくらでも出会えるため「自分にはいくらでも相手がいる」と錯覚してしまいます。
また、うまくいかない原因を「運」「相手」のせいにすることで、自分のダメな部分と向き合う苦痛から逃れる「防衛機制」も働いています。「運が悪かっただけ」と思い込めば、自分を変える努力をしなくて済むので、心理的には楽なんですね。この「依存」と「逃げ」のループが、ガチャ感覚から抜け出せない根本原因です。
-婚活で結果が出る人と出にくい人には、どんな違いがありますか
最大の違いは「振り返りのスピード」「素直さ」「接触頻度」です。
成功する人はデートのたびに「何が良くて何が悪かったか」を「素直に」振り返り、次回の戦略を微修正する「小さなPDCA」を高速で回しています。
また、関係構築のアプローチも違います。たまに長時間のデートをするよりも、「まずは相手を知るため」に「好きでない段階」から「毎日の短時間の電話」などで接触回数を増やすことを重視しています。人は接触回数が増えるほど好意を持つという「ザイオンス効果(単純接触効果)」により、お互いの心理的な距離(心理的安全性)を効率よく縮めているのです。
-Aさんのように出会いを重ねるなかで、その人の本性を見るためにはどのように接すればいいですか
会話だけのデートではなく、「アクティビティデート」を取り入れてみてください。
例えば果物狩りや謎解きイベント、旅先での体験など「体を動かしながら協力して何かを行うデート」、思いっきりはしゃぐ「感情が爆発する様なデート」がおすすめです。
心理学では、多様な状況での振る舞いにこそ本性が表れると考えます。思い通りにいかない時や、とっさのハプニングが起きた時にどう対応するか。そこに、結婚生活で見せるであろう彼の「素顔」が隠されています。
また、それ以上に重要なのが、普段と違うデートをすることで、お互いに開放的になったり、違う角度で自分たちを開示するようになり、それをきっかけによりお互いの事を知ることが出来るのです。
-出会いが『運ゲー』にならないために、押さえるべきポイントを教えてください
ローマの哲学者セネカは「幸運とは、準備が機会と出会った時に生じるもの」という言葉を残しています。婚活もまさにこれです。
「いい人がいない」と嘆く前に、まず「自分はどんな人生を誰と作りたいか」という自分軸を確立しましょう。相手を受け入れ、相手に提供価値を与えることのできる自分となる、精神的自立やメンタルの安定性、包容力を始めとした自分自身の「準備」を整えること。その上で、行動という「機会」を作るのです。
ただ漫然とガチャを回すのではなく、しっかり準備を整えて機会を掴みに行く。この意識こそが、婚活を運ゲーから「必然の成功」へと変える鍵となります。
◆吉野麻衣子(よしの・まいこ)株式会社SMARTBRIDAL代表取締役社長/MBAホルダー/恋愛婚活心理学者/モデル
結婚相談所SMART BRIDAL代表として、「MBA(経営学)・心理学・AI・オンライン」を融合させた科学的根拠に基づく戦略的婚活をサポートしている。「離婚しない幸せな結婚」を理念に掲げ、どの様な境遇の方でも幸せな結婚が出来るように、多くの方を幸せな結婚に導いている。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)
