「明治時代 神仏分離 廃仏毀釈」のカード持つ男性にギョツ!富士山で過去にあった大規模な文化破壊が話題に

日本を象徴する名峰として知られる富士山。

今SNS上ではそんな富士山で過去におこなわれた大規模な文化破壊が大きな注目を集めている。

きっかけになったのはジャーナリストの清義明さん(@masterlow)が

「富士山頂上の剣ヶ峰なう。

頂上の記念撮影スポットで、こんなの持っている人がいて、どういう電波なのだろうと突撃で聞いてみた。

すると・・・」

と紹介した一枚の写真。

富士山頂上付近で「明治時代 神仏分離 廃仏毀釈」と書かれたカードのようなものを持って歩く初老の男性。たしかに一見ギョッとするが実はまっとうな富士山ガイドで、この時はツアーの引率中。ボードは富士山の歴史を紹介するために作成したレジュメの一部だったそうだ。

富士山では明治初期に加熱した廃仏毀釈(仏教排斥運動)の影響で明治7年(1874)にそれまであった数々の仏教関連施設が破壊、撤去。仏教的な由来を持つ地名も神道的なものへ改称された。全国に吹き荒れ、多くの文化遺産が失われるきっかけとなった廃仏毀釈がここ富士山でもおこなわれたという事実に、SNS上では大きな反響が起こっているのだ。

清さんにお話を聞いた。

ーー初め男性をご覧になった印象は?

清:富士山も頂上近い場所だったのですが、フルの登山装備であんなカードを持っておられたので驚きました。富士山には神道の関連施設が多いので、何か抗議的な意味合いなのかな…と。

興味を持ってお話を聞いてみたら全然そんなことはなく、ツアーのお客さんに富士山の歴史を説明するために用意されたレジュメの一部だという事でした。

ーー富士山でおこなわれた廃仏毀釈についてもお話は及んだのでしょうか?

清:はい、いろいろと丁寧に教えていただき、たいへん勉強になりました。古来より山の頂上にはさまざまな宗教施設があるものなのですが、現在の富士山頂上には神道のものだけで仏教や修験道に関するものがほとんどありません。ガイドの方のお話を聞いてあらためてその理由に気付かされました。

その後調べたら、当時の富士山では破壊した仏教施設の残骸を火口に投げ入れたりと、相当なことがおこなわれていたそうです。明治時代の狂信的な国家神道の盛り上がりが富士山にも影響も与えていたんですね。

◇ ◇

SNSユーザー達から

「これをちゃんと解説してくれるのいい事

電波じゃなくて近代社会歴史」

「外来文化を許容してきた日本としては本来神仏習合が合理的なはず

なので廃仏毀釈は文革と同じく野蛮な破壊行為ですね」

「岡倉天心、アーネスト フェノロサが居なかったら日本の仏教は終わっていたかも。」

など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。明治政府の樹立にともないおこなわれた政策は必ずしも良いことばかりではなかった。反省をもって歴史を見つめられる見識と教養を身に付けたいものだ。

なお今回の話題を提供してくれた清さんはこれまで『サッカーと愛国』(イースト・プレス)、『2ちゃん化する世界: 匿名掲示板文化と社会運動』(創元社)など数々の著書を発表。スポーツ、思想からネット文化、陰謀論までさまざまま事象を鋭く分析しているので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

清義明(せい・よしあき)さんプロフィール

1967年生まれ。横浜市在住。フリーライター。

「サッカー批評」「フットボール批評」などに寄稿し、近年は社会問題などについての論評が多い。

Xアカウント:https://x.com/masterlow

『サッカーと愛国』(イースト・プレス):(リンク)

『『2ちゃん化する世界: 匿名掲示板文化と社会運動』(創元社):(リンク)

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)

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