「メンタル」と「フィジカル」を義務教育に!「スポーツの学校」背尾校長が掲げるスポーツ育成論

 青少年のスポーツ育成において、「メンタル」と「フィジカル」の2本柱を重視した養成を行っているオンライン塾「スポーツの学校」が注目を集めている。校長を務めるのは、かつて阪神・矢野燿大監督の社会貢献活動をサポートしていた背尾匡徳氏。自らもプロを目指して大学まで野球を続けた経験を糧に、スポーツ育成の世界に新たな風を吹かせようとしている。

 同校を立ち上げたのは、背尾氏とメンタルトレーナー・大嶋啓介氏、フィジカルトレーナー・浜田智哉氏の3人。大嶋氏は岩手・花巻東や福島・聖光学院など多数の強豪野球部を指導しており、浜田氏は高校時代、ドラフト候補にも挙げられたトップアスリート。3人の中で、スポーツ選手の育成には技術論以上にメンタルとフィジカルが重要であるという認識は共通していたという。

 背尾氏は最近の野球少年に接し、その姿勢に疑問を抱いていた。「僕らが小さいころは野球がめちゃくちゃ好きで、練習が楽しくて、毎週楽しみだった。でも今の子は『楽しくない』って言ってる子が意外と多くて…」と話した。

 さらに「その現状を見ていくと、指導者の子どもたちへの教え方、言葉のかけ方とかがちゃんとできてない」と分析。一方で「現実問題、アマチュア指導者のレベルが高いかといえば、ほぼボランティアなので、ハイレベルなこと求めていったらできないのは分かっている」としつつも、「やっぱり、フィジカルとメンタルの教え方がめちゃくちゃ大事だと思います」と強調した。

 「一競技者として形成される一番大事な時に、きちんと教えてくれる人がいないのはかわいそう」と背尾氏。「『スポーツの学校』に関わっているメンバーも、ケガで競技を辞めたりレギュラーになれなかったり、みんな何らかの原因で挫折をしている。その時にどうしたらいいかという知識が当時はなかったけど、小さいころから教えていけば、子どもたちの可能性はもっと広がっていくのではと思うんです」と言葉に力を込めた。

 どうしても技術論が先走ってしまうのが、スポーツ指導の現状。これに背尾氏は「『心・技・体』という言葉はよく使われますが、最近は情報社会になりすぎて、YouTubeなんかでもそうですけど、技術面ばかりが前に出てくる」と危惧を示す。「プレーヤーは技術練習が一番楽しいし、結果として出てくるから、そればかりやりたがる。もちろん技術論は大事だけど、その土台を作るのは心と体。土台が整わないと、伸びていかないという発想です」とモットーを説明した。

 現在、生徒は基本的に小学校1年生から高校生まで。野球以外の競技者も多く、「技術的には違っても、フィジカルとメンタルの重要性は共通してますね」という。授業はすべてオンラインで行われるが、信頼関係の構築は「思ったよりできている」と力説した。

 昨年輩出した1期生は40人で、今年上半期に輩出した2期生は100人。7月13日からは、3期生の講座が開講される。2期生以降は受講料が無料となった。背尾氏は「この1年で、卒業生を1000人にしたい。来年は1万人、3年後は10万人…と増やしていければ」と構想を口にした。その上で「僕らが持っている最終的な夢は、『メンタル』と『フィジカル』の授業が義務教育になるということです。国語や算数みたいにね。それぐらい大切なことだと考えています」と力説。日本のスポーツ界の慣習を変えるべく、新たな挑戦を続けている。

(よろず~ニュース編集部)

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