コロナ禍で名店閉店相次ぐ ゲーセン女子「ゲーセン文化を守り、次の世代に伝えたい」

 「ゲーセン女子」として活動する、おくむらなつこ氏は昨年12月30日、2年ぶりに開催されたコミックマーケット(コミケ)に参加し、同人誌「ゲーセンさんぽ増刊 ゲーセンメモリーズ」を販売した。主にコロナ禍の影響で閉店したゲームセンター(ゲーセン)を紹介している。

 アニメ、漫画、コスプレが目立つコミケだが、ゲームや占い、宗教や文学、評論やお笑いまで多種多様な表現が混在。おくむら氏が選んだテーマは25年を超えて愛し続けるゲーセン。「タイトーステーション豊橋 2021年3月31日閉店」「ゲームインさんしょう富山駅前 2021年10月31日閉店」など、墓碑のように店名と閉店日がタイトルに並び、店の写真と特徴が記される。「全部自分の足で出向いて撮影したものです。コロナで覚悟はしていましたが、地域に密着して長年親しまれていた店ほど、経営者が高齢なこともあり、たくさん閉店してしまいました」と寂しそうに語った。

 老舗ゲーセンの特徴は、そもそも資金が潤沢ではない、現金収入を即運用する自転車操業など、飲食店と似通った形にある。しかし、飲食店とは異なり、店舗形態は風俗営業に該当するため国の補助が届きにくく、緊急事態宣言が発令されなかった地方店では一層補助が及ばない状況に陥った。「イベントや大会を開いて、お客とのつながりを大切にしてきたお店ほど、資金とコミュニティーが崩れ、アイデンティティーを喪失してしましました」と語った。

 21年6月30日に閉店した「アドアーズ門前仲町」は大手ながら、ビデオゲームのリクエストポスト、子どもに向けたぬりえ紙の配布、懐かしいゲーム大会開催など、こだわりを感じさせていた。「店員さんも親切で、地域に根ざそうという工夫が行われていたので、閉店は本当に残念でした」と振り返った。21年7月25日には愛知・東海市の「アトランティス」と「ナイル」、同名古屋市「モアイ」、同大府市「ダイナソア」が運営会社の閉業に伴い一斉閉店。「店名に合わせた凝った外観が特徴的で、常連の多い地域に根ざした古さと新たしさが混在していた印象です」と、無念さを口にした。流行や人気を盲目的に追わない店ほど、苦境に陥ったという。

 おくむら氏は小学校1年生でゲーセンに魅了され、現在も「朝の仕事前と、仕事が終わった後も通います」と1年を通して、ほぼ休みなく足を運ぶ。中学校ではいじめに苦しんだ。「学校に居場所はありませんでしたが、毎日ゲーセンに通って救われました。店員さんやお客さんとのコミュニティーがうれしかった」と、当時の感謝は心に刻まれている。「同じゲームでもスマホやアプリでひとり行うものとは違った、人との関わりが魅力だと思います。ゲーセン文化を守り、次の世代に伝えたい」。ゲーセンおよびゲーム機の将来への危機感から、2015年1月にゲーセン女子の活動を開始。度々メディアに取り上げられた。19年には子どもの頃から趣味だったゲーム基盤集めを生かして、アーケードゲーム機シェア型レンタル事業「アケシェア」をスタートさせるなど、ゲーセン愛はますます深化している。

 2年ぶりのコミケ会場に立ったおくむら氏。「コミケもゲーセンもオフラインの楽しみがあります。ここに来ることができて、人と触れ合えて、本当にうれしい。来年に向けて、期待感やわくわくする気持ちになっています」。2022年もゲーセン文化を守り、魅力を広める活動に、楽しみながら向き合っていく。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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