16年目のレジェンドメイド・hitomi 目の力、ジェスチャー、バーチャル…コロナ禍でも“全力お給仕”

 東京・秋葉原のメイドカフェ「あっとほぉーむカフェ」で16年間活動し、“レジェンドメイド”の異名を持つhitomiが、よろず~ニュースの取材の応じた。16年間メイドを続けてこられた理由に加え、メイドカフェでのコロナ禍の課題、変化を語った。

 hitomiがメイドとして働き始めたのは2004年。翌年には「あっとほぉ~むカフェ」のメイドによって結成されたユニット「完全メイド宣言」に所属し、同年の流行語大賞『萌え~』を受賞した。また、2019年6月にはNHK『プロフェッショナル~仕事の流儀~』に出演し、話題となった。現在は、秋葉原観光親善大使も務める唯一無二のレジェンドメイドとして活動し、「あっとほぉ~むかふぇ」を運営する株式会社インフィニアの執行役員も務めている。

 そもそも、hitomiはメイドに興味がなかったという。たまたまテレビで見かけたメイドをみて、あこがれの気持ちを抱いたのがきっかけ。メイドを始めた2004年には、メイドは今ほど定着した文化ではなく様々な「偏見」もあったという。「友達に『男性に向かってぺこぺこするだけでいいんでしょ』と言われたこともあった」と明かした。だがそんな偏見に対して芽生えた反骨心も、メイド活動への活力になったと語る。

 一般的にメイドとして活動期間は約1年。学生が占める割合が高いのが主な理由で、学校の事情や「自分には合ってない」と感じ、長続きしない場合も少なくないという。そんな短命のメイドが多い中、hitomiが16年もの間、続けてこられた理由は「この仕事が好きだから」。「お客さんのリアクションをすぐに感じ取ることができる。嬉しそうにしてる姿や楽しそうな笑顔を見れることにやりがいを感じる」とコメント。

 また、2年前に放送されたNHK『プロフェッショナル~仕事の流儀~』での恒例企画「プロフェッショナルとは?」の問いには、「同じことを飽きることなく続けられる人。そしてそのひとつのことを磨き続けられる人」と回答していた。彼女の揺るぎない信念が16年間メイドとしての軌跡を描いていた。

 昨今のコロナ禍で苦労している点は、コミュニケーションの取り辛さだという。「お客様とメイド、お互いの顔がマスクで見えず、どういった表情をしているか分からない」と悩みを打ち明けた上で、「目でしかコミュニケーションがとれないので、逆に目だけでも伝わるように努力している」と答えた。他にもジェスチャーを多く交えるなど様々な工夫をメイド同士で共有し課題を克服しているという。

 コロナ禍により生まれたもう一つの問題が「外国人客の減少」だ。「コロナが流行る前は全体の2割を占めるほど外国人の方がご帰宅(来客)されていた。今はほとんどいないですね」と現状を語った。しかしこの問題に対しても解決策を見出そうとしている。

 昨年11月からhitomiが所属している「あっとほぉ~むかふぇで」は新たに「バーチャルあっとほぉ~むカフェ」を始めた。パソコンなどから参加可能で、オンラインの仮想空間上でメイドとお話をしたり、実際のメイドカフェのように自身のアバターとバーチャルメイドとのチェキ(写真)を撮ることができる。

 この企画自体はコロナ前から進んでいたようで、主に遠方から秋葉原に来られない人や、外国人客をターゲットに発案された。また外国人客に限らず、Vtuberが流行っている影響もあり、バーチャルでの来店は多く、満足度は高いという。

 hitomiは「不安な中生活が続きますが、お帰りになったご主人様には心により添えるようにお給仕します!できる限りの感染予防対策は全てやっていますが、直接会うのが厳しい方は是非バーチャルの方でメイドから元気をもらってください!」とメッセージを送った。彼女の発する言葉一つ一つに、16年分のメイド活動への熱い想いがこもっていた。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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