理研・笹井氏が自殺…何も語らず命絶つ

 理化学研究所・小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の指導役を務め、STAP細胞論文の共同執筆者だった理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長(52)が5日朝、神戸市の同センター隣接施設内で自殺しているのが見つかった。現場などに4通の遺書が残され、小保方氏宛の書面もあった。STAP問題の解明が待たれる中、キーマンと言える、科学界の若きリーダーは、別の形で騒動に終止符を打った。

 兵庫県警などによると、5日午前9時すぎ、神戸・ポートアイランドにあるCDBに隣接する「研究棟」5階の非常階段で、笹井氏が手すりに、ひも状のものをかけ、首をつっているのを職員が発見。搬送先の病院で死亡が確認された。県警は自殺とみている。

 笹井氏は半袖シャツにスラックス姿で、踊り場に靴がそろえてあった。研究棟2階には笹井氏の研究室があり約30人のスタッフが勤務。笹井氏は前日4日も出勤し、この日も勤務予定だった。4日夜から滞在していたのか、早朝に出勤したのかは不明だという。

 理研によると、現場にあったかばんの中と研究室に計4通の遺書が残されていた。関係者によると、CDBの「人事、総務課長宛」のほか、コンビを組んでSTAP論文を書き上げた小保方氏宛の書面も発見された。小保方氏宛の遺書には「あなたのせいではない」「STAP細胞を必ず再現してください」という内容のことも書かれていたという。

 STAP問題のキーマンであり、科学界をけん引してきた笹井氏の訃報に、この日、CDB周辺は報道ヘリが旋回、約200人の報道陣が殺到した。

 卓越した論文執筆力で小保方氏をサポートし、1月に華々しく行われたSTAP細胞研究の成果発表会見には小保方氏とともに出席。しかし関係者によると、論文に疑念が生じて以降は「疲労困憊(こんぱい)」状態にあり、心療内科を受診するようになっていた。

 体には発疹が出るなど、ストレスが相当たまっていたという。10日程前には研究室スタッフから「笹井氏の体調が悪く、ディスカッションが成立しない」との指摘もあった。「愛きょうのある笑顔が消えていた」との証言も出ていた。

 また3月以降、複数回、副センター長の職に関して辞意を漏らしていたことも明らかに。6月には自身が設立に尽力したCDBが理研改革委員会から解体提言を受け、自身も懲戒対象となる厳しい立場に追い込まれていた。

 疑念発覚後も「STAP現象は現在最も有力な仮説」と唱えていた笹井氏。かつてノーベル賞候補とも称された科学界のエースは、小保方氏が参加する検証実験の結果が出る前に、自ら命を絶った。

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