ボクシング・スーパーバンタム級４団体統一王者の井上尚弥に挑むことが決まったルイス・ネリと、因縁深い元WBC世界バンタム級王者の山中慎介さんが６日、握手で和解をした。

　井上vsネリの試合発表会見後、会場を訪れていた山中さんが歩み寄り、会話をした。「私の間違いのせいで山中さんのキャリアを終わらせてしまったことは申し訳ありません」と謝罪するネリに対して、「今は私の方が重いんで」とユーモアも交えて応じた山中さん。ネリが長期的視点で体重をコントロールしていることを受け、「ちゃんと節制してるんですね。東京ドームにふさわしい、いい試合を期待しています」とエールをおくった。

　２人の因縁の始まりは２０１７年８月。１度目の対戦で王者の山中さんを破ったネリにドーピング違反の疑惑が持ち上がったことが発端だった。最終的にはネリに意図的な禁止薬物の摂取があったと断定する証拠がなかったとして、WBCは山中との即時再戦を命じた。

　そして２０１８年３月の再戦。前日計量で2.3キロオーバーという大幅な体重超過（ボクシングの階級はバンタムなどの軽い階級では２キロ未満で刻まれている）を犯したネリは２時間後の再計量でも約1.3キロオーバーで王座陥落。「ふざけるな」と山中は怒りをあらわにした。

　当日計量の結果、試合は行われたが２ラウンドTKOで山中は敗れ、この試合を最後に現役を引退した。

　因縁深い相手と並び、報道陣からの写真撮影、そして握手の求めにも山中さんは応じていた。