横浜銀蝿 最後の最後までぶっちぎる 伝説のロックバンドが語った友情と熱き心

 東京の街並みを背に意気込みを見せる横浜銀蝿の翔(左)とJohnny(撮影・開出牧)
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 2019年末、36年ぶりにオリジナルメンバーで「横浜銀蝿40th」として期間限定で復活した昭和の伝説的ロックバンド「横浜銀蝿」が、8日にニューアルバム「ぶっちぎり249」をリリースし、10月14日からファイナルツアーを行う。翔(63)と、36年ぶりに復帰したJohnny(63)が、高校時代から半世紀近くに及ぶ友情と、今年12月31日の終幕に向けて爆走する熱き心を語った。

 翔は「Johnnyがいるだけで、コンサートの中に勝手にヤマがいくつもできる。『ジェームズ・ディーンのように』を『♪おいでCome on』って歌っただけで、すごい拍手が上がる。そういう場面に立つ度に、やっぱJohnnyはすごいわと」と、Johnny復帰後のステージを熱く語った。

 Johnnyは83年の銀蝿解散後、30歳でレコード会社に入りディレクターとなった。現在は関連会社の社長を務めている。何度か復活した銀蝿に参加しなかった理由を「覚悟決めて入ったので、なかなか志が達成できなかったこともありますし、自分のやることでいっぱいいっぱいだった」と説明するが、恩人の訃報が表舞台に再び呼び寄せた。

 J「2018年に当時の横浜銀蝿の担当ディレクターの水橋(春夫)さんが亡くなり、しのぶ会で翔君と20年ぶりぐらいに会ったのがきっかけで」

 音楽を始めたのは、高校で翔と同級になり「キャロルみたいなバンドやろうよ」と意気投合したから。Johnnyは当時の思いを「誰がどう思おうと、俺たちがかっこいい、やりたいっていうことを、純粋に好きなことをやる」と振り返り、「この1年半、高校生の時と同じ気持ちでできてる」とメンバーやファンに感謝した。

 銀蝿40thの活動は20年末までの1年間限定だったが、Zeppツアーの延期を余儀なくされるなど「このままじゃ全く何もしない40周年になるんで、もう1年間延長しようぜ」(J)と決定。

 タダでは転ばず「活動が延びたんだったら延びたで、また曲を集めようって」(翔)と想定外のニューアルバムまで生み出した。それだけに「コロナの状態になってからの、みんなが感じてることとか思ってること」(J)を反映。翔が作詞、Johnnyが作曲した「逢いたくて 逢いたい」がそうだ。

 翔が新型コロナウイルス感染症治療の最前線で働く医療従事者から「(疲弊のあまり)誰かと会いたいという気持ちすら考えられなくなった」という話を聞き、衝撃を受けたのがきっかけだった。

 翔「会いたい時に逢いたい人と会うことがどんだけ大切なことだったのかなっていうことを改めて感じて」

 ライブの延期が重なり、「ファンの子たちに『銀蝿に会いたいって、もっと口に出していいんだぜ』って。俺たちも会いたいワケだから」というメッセージも込められた。

 歌詞は「逢いたくて」と「逢いたい」の2語のみで、Johnnyは「翔君は昔から詞のセンス、自分の言葉の世界がすごかったんで。二言で伝わる、これはすごいなと思いましたね」と感嘆。翔は「(曲作りを)やってたら、(デビュー前の)10代の時にJohnnyが作ったメロディーに勝手になっていく。この現象もJohnnyがいるから(こそ)。感動しましたね」と、驚きのJohnny効果を明かした。

 翔とTAKU(60)が作詞作曲の「ツッパリHigh School Rock’n Roll(在宅自粛編)」は、銀蝿のイメージ通りのロックンロール。コロナ禍の社会を風刺し笑い飛ばす楽曲が共感され、YouTubeで99万回超の再生を記録した。昭和のバンドである銀蝿だがネットでバズり、令和でも光って見せた。

 7曲目「おはよう」の作詞とボーカルは嵐(66)。04年に脳梗塞を患い、右手足に後遺症があるが、翔は「本当に踏ん張ってますよ。音楽制作もアレ(可能)ですし、マネジメントもできますし」と現状を報告した。

 10月14日からはラストツアーが始まる。

 翔「Johnnyが入った『横須賀Baby』とか『男の勲章』はホンモノじゃないですか。それを見せてあげたい。これが横浜銀蝿だって胸張って言える状態が今なんで、思い出のステージを絶対作るぞっていう気持ちで考えてますね」

 J「不良っていうのはゴールを決めないと走れない。12月31日まで死ぬ気で突っ走るつもりでいて、これがJohnnyだっていうのを出していきたいんで、最後の俺の勇姿を見に来てほしい」

 令和によみがえった昭和の伝説は、最後の最後までぶっちぎる。

 ◆横浜銀蝿(よこはまぎんばえ)正式名称は「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL」。メンバーはドラムスの嵐(らん=66)、ギターの翔(しょう=63)とJohnny(じょにー=63)、ベースのTAKU(たく=60)。79年結成。80年デビュー。社会現象を巻き起こし、シングル「ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)などがヒット。アルバム2枚がオリコン1位獲得。83年大みそかで活動終了。2019年12月、Johnnyが36年ぶりに復帰。

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