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中村梅枝

 面長で鼻筋の通ったおっとりとした古典的な風情と、日々の研鑽が垣間見える実力派の若手女方・中村梅枝。すらりとした肢体で赤姫もよく似合う。その一方で世話物の娘から若衆まで手堅く、今後の活躍がますます期待される。

 ◇  ◇

 古典は父から教わります。父は息子の自分から見ても、若々しくて瑞々しい。お姫様役も違和感がない。歌舞伎は役と実年齢が近いからいいというものではない。役にはそれまでの経験や人間的な蓄積が大きくものをいうと思います。

 古典には型があります。型をなぞれば、それなりに見えます。でもその型には一つひとつ意味があるんです。その意味を理解しないと、本当に役を演じることはできない。もちろん自分はこう思うけど…と、教えられた型の意味と、自分の解釈に乖離があることもある。だけどいまは教わったことを忠実にやる時期。僕もあと50年は歌舞伎俳優をやっていると思いますので、自分の解釈の芝居をするのはもう少し年を経てから。いまは教えていただいたことをなぞって、その通り演じ、それを自分のものにする時期なんですね。

 11月の巡業も楽しみです。「魚屋宗五郎」では、菊之助さんが宗五郎で、僕がおはまをやらせていただきます。世話物はチームワーク。そのときの感情を出していく必要があり、相手役の方がこうやるなら、自分はこうやると、型というより、気持ちの応酬ですね。菊之助さんの宗五郎とどういうかけあいになるのか楽しみ。いろいろ教わりたいですね。

 12月は「顔見世」でまた京都南座に出演します。東西のすごい先輩の方々が顔を並べる中、僕も出演させていただく。演じることもそうですが、そばで見せていただくことも勉強になります。

歌舞伎は稽古期間が短いことに驚かれます。舞台稽古は1回だけのことも。本当に微調整といった感じ。その稽古でうまくなるのは無理です。その稽古に参加するまでに、自分で仕上げていなければならない。慌ててやっても間に合わない。普段から父や先輩方に教わり、勉強しています。

また歌舞伎には基本的に演出家がいない。役それぞれに何十年、何百年と綿々と受け継がれてきたものがあり、またそのときどきの役者が工夫を加えてきた。歌舞伎俳優一人ひとりが演出家なんです。それが伝統だと思っています。

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中村梅枝(なかむら・ばいし) 1987年11月22日生まれ。五代目中村時蔵の長男。屋号は萬屋。91年6月歌舞伎座「人情裏長屋」の鶴之助で初お目見得。94年6月歌舞伎座「幡随長兵衛」の長松ほかで四代目中村梅枝を襲名し初舞台。

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