【大場久美子 5】私は裸になりました。なにか?

 芸術に対して日本と外国では、感じ方やとらえ方や批評がかなり異なる。

 私は20代でヌード写真集を出版しました。「女優の世界にお嫁にゆきます。」と、19歳の時に日本武道館のファイナルコンサートで宣言して。

 わずか2年間でアイドル歌手を卒業して、13歳から目指していた舞台女優に戻りました。「一番いい時期に(稼いでいる時に)なぜアイドルを辞めてしまったの?」とよく聞かれます。勉強がしたかったのです。なんの技術もなくセリフを覚えて吐き出す。時間に追われて言われるままにこなすだけの作品が世の中に放送されてしまうので、応援してくださる皆さまに申し訳ないという気持ちで常にいっぱいでした。芸ごとの勉強がしたい。そんな気持ちと葛藤していました。

 どんな役者になりたかったか?リアルな人間を表現したかった。

 役者の肥やしになるのではと、人間ウォッチングが好きで、電車やバスや公共の場によく足を運んだ。

 ある時、デパートの人気が少ない階段に座って、赤ちゃんにおっぱいをあげているお母さんの姿に出くわした。赤ちゃんは、小さいかわいい手で、お母さんのおっぱいをむぎゅむぎゅしながら一生懸命お乳をほおばっていました。これだ!こんなリアルなシーンを演じてみたい。だがアイドルを卒業したばかりの私が演じたら「大場久美子がヌードになった!」と騒がれるだけで、あのデパートで見た、なんともあたたかな魂のふれあいは無視されるだろう。ならば、表現したいものがヌードとだけ騒がれる前に裸になって、役者はなにもかもさらけ出して体全部で表現するものだと訴えたかったのだ。

 そんな私の挑戦はあっけなく「大場久美子ヌード!」という評価だけで終わりましたが(笑)。

 最後に皆さんに質問。街中で私にこんな風に声をかけてくださる男性の皆さ~ん!「若い頃お世話になりました。」って、どういう意味ですか?(笑)

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