映画「4アウト」ついに公開 原作者・平山譲氏、障がい者たちの乗り越えていく姿に自身の青春時代を重ね 12歳で難病指定に

 俳優の相葉雅紀(43)が6日、都内で行われた、デイリースポーツが特別協力する主演映画「4アウト -もう一度、プレイボール-」の初日舞台あいさつに登壇し、黒島結菜、佐々木蔵之介ら豪華キャスト陣と撮影の裏話を明かした。映画の集中連載「直撃キャッチボール」の第5回は原作小説の著者、平山譲氏(57)が登場。執筆の経緯や作品に込めた思いを語った。

  ◇  ◇

 2000年代初めに、あるスポーツ雑誌から野球特集の執筆依頼を受けたのが「4アウト」の始まりだった。東京に初めて障害者野球チームができたと耳にし、練習を見学に行った。

 「たまたま、そういう原稿の依頼を受けて、障害者野球を初めて見ました。パラリンピックの種目にもなっていないですし、周知もされてないのに日本選手権があると聞いて驚いたんです。さすが野球大国日本だな、と思いました」

 興味を持って本格的に取材を開始し、今作で主人公が率いるチームのモデルとなった「東京ブルーサンダース」に密着。2005年に今作を書き下ろした。23年に新装版を出版した際には、リハビリ中だった故長嶋茂雄さんが推薦のメッセージを寄せている。

 「長嶋さんの手に『4アウト』が渡って、感動してくださったとうかがってとても光栄でした。もう一度キャッチボールをしたいという夢がおありだったともお聞きしました。障害があっても、もう一度、野球がしたいという思いが物語の登場人物たちと一緒だったんだと思います。『挑むことを諦めない。だから人生は楽しい』とおっしゃってくださり、原作を応援してくださったところから大きなムーブメントが生まれたように思います」

 平山氏は12歳のときに難病指定の大病を患い、入退院を繰り返す青春時代を過ごした。スポーツを諦め、学校にもほとんど通えず「本や映画に育てられたようなものでした」と振り返る。自身も挫折を味わったからこそ、それを乗り越えて進もうとする選手たちへの目線は温かい。

 出版社に就職後、編集者としてキャリアをスタート。1993年、Jリーグ初年度にサッカーブームの風に乗ってスポーツ記者となり、98年に独立した。ボクシングやゴルフなど取材する競技を越境する中で出会ったのが障害者野球だった。

 「今作で佐々木蔵之介さん演じる岩橋の『野球を諦めきれへん奴らに、夢見させてやってくれへんか』という、相葉さん演じる矢上に向けるセリフがあるんです。本当に10代の頃の僕ですよね。病気や怪我をしても野球を諦めずに頑張ってる方々を見て、最初の取材の時から感動しましたし、それを多くの人にお伝えしたいなと思いました」

 最初に見に行った日本選手権は「観客、僕一人でした」と笑うが、今では世界大会が行われるほどに発展。日本は3連覇中の強豪国だ。今年は、21日に福岡県北九州市で開催予定で「たくさんの方々に映画をご覧になっていただいて、なにか好きなことに挑戦したい人の背中をポンと押せたなら幸せですし、世界大会の方もぜひ応援に駆けつけていただけたら嬉しいです」と呼びかけた。

 ◆平山讓(ひらやま・ゆずる)1968年11月22日生まれ。東京都出身。出版社勤務を経て、作家デビュー。主な著書は、阪神・淡路大震災で被災した主人公がプロゴルファーを目指す姿を描き、映画化もされた「ありがとう」や、NHKドラマになった「ファイブ」、名波浩、黒木知宏、中田翔らを追ったノンフィクション作品など。

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