映画「4アウト -もう一度、プレイボール-」6日公開 稲垣壮洋監督語った相葉雅紀、主役起用の理由「熱いもの持っている」
映画「4アウト -もう一度、プレイボール-」がきょう6日に公開する。特別協力のデイリースポーツが、キャスト、スタッフへのインタビューをを連ねていく集中連載の第4回は、稲垣壮洋監督(48)が登場。映画史に残る「野球映画」を目指したと強調。主人公・矢上雄一役に相葉雅紀(43)を起用した理由や、野球のリアリティーを追求した相葉のノック猛特訓秘話など、制作への熱い思いを語った。
稲垣監督にとって今作が初の長編映画制作。自身も野球経験者であり無類の野球映画好きという。8年の構想期間を経て、ついに完成した作品に「野球映画なので、野球シーンはむちゃくちゃ大事にしました。全身全霊でやりましたね。役者陣もスタッフも全力で余すことなく、必死にやってくれました。最高の仕事をしてくれたと思っています」と感慨深げに振り返った。
モデルとなった「東京ブルーサンダース」の創設期の大惨敗から描きたかったという。劇中のモデルとなった0対30の試合を観戦。大敗後に怒りをあらわにした主将が、仲間を叱りつける姿に心が震えたという。
「ぶざまでもあり、かっこ悪いプレーのオンパレードに対して、キャプテンが叱りつけているんですよ。試合も華麗なプレーよりも泥くさく必死で。あと一歩で捕れなくて悔しがる。あの姿に感動しました」。
本人たちは障害者の意識が毛頭ない。野球がうまくなりたい一心で情熱を傾ける姿を直視し、野球ヒューマンドラマを描くことを決意した。
出演者は障害者も起用した混合チームで撮影。オーディションでは、野球経験者でない障害者も多数参加したという。一方で、主人公・矢上監督の人選は考え抜いた末に決まった。原作で描かれている矢上像は昭和のスポ根風の人物。そこに令和の時代にも合う人材を選びたかったという。
「現代に合う、柔らかい見た目の中にも、内に秘めた熱い思いがある人」「野球の経験者であること」を条件に人選。その中で「YouTubeでたまたま相葉さんの始球式を見て、投げ方が経験者のようだったので調べたら実際にやられていたんですよ。親しみやすい人柄の中にも熱いものを持っている方でもある方なのでピッタリだなと」と相葉の起用に至った。
作中での矢上像について「相葉さんと二人っきりで、詰めていったり、案を出したりしました」と述懐。野球のリアリティーを出すためにノックシーンは相葉も「カットでごまかす気はありません」と1日100スイングをこなし猛特訓したという。監修を務めた野球日本代表・井口資仁監督の指導もあり「野球教室ではないですけど、誰か止めてくれないかと思っていて、本当に部活でしたね」と振り返った。
「世界身体障害者野球大会」の実行委員長を務めた長嶋茂雄さんも作品を気に掛けてくれたという。公開前に亡くなったが「長嶋さんが『野球は人生そのものだ』というように、僕も監督としてブレずに描きたいと思いました。野球映画だからこそ、野球映画史に何か残っていきたいという願いを込めています」と力を込めた。健常者、障害者にかかわらず、野球好きの人々へ楽しんでもらいたいという強い思いが制作の原動力になった。
◆稲垣壮洋(いながき・まさひろ)1978年8月31日生まれ。福島県いわき市出身。東洋大を経て、日本映画学校映像科を卒業。フリーランスの助監督として「闇金ウシジマくん」や「ドクターX 大門未知子」などに参加。2017年に監督として短編映画「キミの夏、聞いたよ」で小津安二郎記念蓼科高原映画祭準グランプリを受賞。2021年に発足した「4アウトプロジェクト」に携わり、障害者野球教室にも尽力した。
◆あらすじ 「4アウト-」は、東京に初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設にまつわる実話をもとにした物語。原作には元プロ野球・巨人監督で昨年死去した長嶋茂雄さんも熱いエールを送っていた。社会人野球を戦力外となった後、再就職先の障害者スポーツセンターで野球をやりたい障害者たちと出会い、野球への情熱を取り戻していく主人公・矢上(相葉雅紀)と諦めずに挑戦を続ける選手たちの姿が描かれる。野球を愛し続けるそれぞれの人生が交わり「全国身体障害者野球大会」で日本一を目指していく。
