森尾由美 83年組、才能揃いも「なんで売れなかったんですかね」 アイドルとして挫折→タレントとして覚醒 松本明子ら同期と「お神セブン」を結成
月イチ連載企画の「今も輝いて アイドル伝説」。今回は森尾由美(60)が登場です。中森明菜、小泉今日子ら「花の82年組」の翌年にデビューするもアイドルとしては売れなかった83年組ながら、その後はバラエティー、アニメ、ドラマでテレビ史に残る長寿番組を次々とものにするまでに成長。今月22日には83年組のコンサートを控える森尾が、アイドルとしての挫折とタレントとしての覚醒を語ります。
本人たちも鉄板ネタとしている通り、83年組は売れなかった。森尾は、同期の松本明子が83年最後の音楽祭の楽屋で「私たち売れなかったけど、このままじゃ終わらないように、また来年も会えるように頑張ろうね」と言ったことを、今も覚えている。
83年組には「スター誕生!」出身の松本、ホリプロタレントスカウトキャラバングランプリの大沢逸美、ヤマハのポピュラーソングコンテストで入賞した小林千絵らがいた。ポテンシャルは高かったのに、なぜ売れなかったのだろうか。「全然分からない。なんで売れなかったんですかねえ」と小声になった。
「オリコンチャートとかを見れば、トップテンに誰も入ってないとか、売れてないことは可視化できる。スケジュールは忙しいので、ギャップについていけなくて」
もっとも「売れなかったことが決して全て悪かったわけじゃない」とも言う。なぜなら「昔のアイドルってハタチぐらいから方向性をどうするか悩むけど、私たちは売れなかったので、次の手段を考えるのが早めに来てしまった」から。松本はバラエティー、大沢は演技、小林はラジオとそれぞれ持ち味を生かし、道を切り開いていった。
森尾自身はタレント志望ではなかった。高校入学を機に「ちょっとあか抜けたいな」と読者の変身コーナーに応募し、セブンティーンモデルに。少年マガジンのグラビアで注目され、CM、ドラマ、歌と「流れと勢いで進んでしまった」。オーディション組と「いきなり同じステージに立ってしまうのを心苦しく思っていました」という。
芸能活動への動機が希薄で、「一生懸命」だったが歌は「ヘタクソだったからイヤだったし、衣装も(丈が)短いのが恥ずかしかった」、グラビアも「恥ずかしくてイヤ。カメラマンさんも困ったんじゃないかな」。
俳優としても原田知世主演のドラマ「ねらわれた学園」(82年)でデビューしたが「いきなり現場に行ったのでスタッフさんの言ってることが何も分からない。よく知世ちゃんの前に勢い余って出ていって『邪魔だ!』って怒られたけど、どこから撮ってるのかも全然分からない素人だった」。同番組が終わると「やめよう」と思った。
腹をくくったのは、定時制高校を21歳で卒業した時だ。学業のために仕事をセーブしてくれた事務所社長へのお礼に「一生懸命やらなくちゃ」と決意。そこに「オールナイトフジ」の司会(88年)や「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(出演は89~93年)などから声がかかり、「仕事にちゃんと向き合って一生懸命取り組んだ」結果、責任ややりがいを感じるようになっていった。
特に「元気-」は「キャスティングされた意味をきちんと分かりたいなと思ったのはそれぐらいの年で、スタッフの皆さんや見てくださる方が求めてくださってるものをちゃんと考えられるようになりました」と、自覚を強めた作品だ。
「元気-」は私生活でも転機となった。兵藤ゆきに紹介された現在の夫と92年に結婚。記者会見にはビートたけしと松方弘樹が登場した。芸能界への動機が希薄でやめることばかり考えていた森尾は、いつしか業界の大物にも認められる存在に成長していた。
その後はトークバラエティー「おそく起きた朝は…」(94年~。現在は「はやく起きた朝は…」)、アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(96~2004年。その後も16年まで不定期放送)、ドラマ「大好き!五つ子」シリーズ(99~09年)がロングヒット。いずれもテレビ史に残る名作となった。
同期の松本、大沢、小林、桑田靖子、木元ゆうこ、徳丸純子とは「お神セブン」を結成し、35周年の18年にコンサートを初開催。今月22日にはコンサート「83年組アイドル アラ!?還ライブ」(東京・シアター1010。正午と午後4時の2回公演)を開催する(米在住の徳丸は欠席)。
森尾、松本、大沢は今年還暦で小林は23年に還暦、桑田と木元は来年還暦になるため「赤をテーマにお祝いムードで、来てくださる方も同世代の方が多いと思うので、アラウンド還暦をみんなでお祝いしましょう」という趣旨で行われる。
売れなかったためカラオケがなく、持ち歌はあまりやらないのがお神セブンだったが「今回初めて持ち歌を増やしました。コアなファンの方にはたまらない回になると思います」と胸を張る。
「トークもディープなものを入れて盛り上がるように」「親衛隊の皆さまに感謝する回でもあるので喜んでもらえることをしよう、四十何年ぶりにコールをしていただこうと」と、さらなる新企画も準備している。
83年組が結束できる理由を聞くと「売れなかったにつきますね」と即答し「誰か1人売れてたらこんなふうに集まれなかったと思うけど、みんな同じぐらい売れなかったので励まし合ったり慰め合ったり」と続けた。
私生活では4年前に孫が誕生。夫は米国在住で昨年は2回、今年は1回、約3週間ずつ会った。遠距離婚の理由は「彼は結婚前からアメリカに住んでいたので、今のスタイルを崩したくない。私は私でこちらに仕事や子供たちもいるので『アメリカに来てよ』って言われないのはありがたい」という理由からだ。
「それぞれのペースができてるので、我慢して一緒にいなくて済むのはいい関係性かな」と互いのライフスタイルを尊重しつつ「このまま離ればなれというわけにもいかないと思う」と、将来の同居も視野に入れる。
森尾は今年6月に還暦を迎えた。松本に「もう60になったし、どうする仕事?」と聞くと「何言ってるの?アッコは由美と80までロケに行くよ」と返されたという。「アッコが言うとホントになりそうな気がして、頼もしく励みになる仲間たちですね」と同期に感謝し、「行かなくちゃ!」と笑顔で応じていた。
◆森尾由美(もりお・ゆみ)1966年6月8日生まれ、埼玉県出身。82年、ドラマ「ねらわれた学園」でデビュー。83年、シングル「お・ね・が・い」で歌手デビュー。85年、映画「それから」で松田優作さんと共演。96~2004年にアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で麗子役。99~2009年にドラマ「大好き!五つ子」で母親役。現在はトークバラエティー「はやく起きた朝は…」(フジテレビTWO)出演中。25年、埼玉県草加市「そうか宣伝隊長」就任。身長162センチ。血液型A。
